箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「ピクニック気分? いや~、なかった!」青学大・原晋監督が戦慄…箱根駅伝で“異次元の区間新”駒大・佐藤圭汰の衝撃「(状態は)80%ぐらいです」
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph by(L)Nanae Suzuki、(R)Yuki Suenaga
posted2025/01/04 11:01
「復路はピクニックランで」と自信を見せていた青学大の原晋監督(左)だが、駒大の大エース・佐藤圭汰(3年)がその目論見を崩すことに
佐藤にとっては狙い通りの区間新記録。先頭を走る青学大との差も、一気に2分27秒も詰め、1分40秒差とした。距離に換算すれば約600m。直線で目視できる差にまで迫った。見事なゲームチェンジャーぶりだった。
「ラストの絞り切らないといけないところであまり上げられなかったのは、まだまだ練習不足だと思いました」
これほどの快走にも佐藤は反省を口にしていたが、チームはレッドゾーンから脱出し、わずかながらも逆転優勝に望みをつないだ。8区以降を任された、初めて箱根路を走る2年生にも勇気を与えただろう。
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「圭汰は(状態は)8割で、まあまあ良い仕上がりだったので区間新ぐらいまではいくかなと思っていたけど、まさかここまで上がってきたかと……。あれが良い流れになったね。2年生も我慢してくれた」
佐藤の激走は、指導する大八木弘明総監督の想像をも上回っていた。
駒大・藤田監督も佐藤の走りに驚嘆
また、藤田敦史監督も驚きを隠さなかった。
「あいつの力だったら区間記録を1分ぐらいは更新してもおかしくはないと思っていましたが、それでもいとも簡単にやってのけるのは、すごいと思いましたね。本来は7区に入るような選手ではないので、力からすればあのぐらいの差(※区間2位と1分38秒差)は付くだろうなと思いますけど、それを分かってはいてもなかなかできないのがこの競技ですから」
有言実行の走りを見せた佐藤をこう高く評価する。
出雲駅伝と全日本大学駅伝を欠場し、8割の状態だろうと箱根の王座奪還の鍵は佐藤が握っていた。
「3区か7区かで迷っていたんですよ」
藤田監督は、佐藤の起用についてこう明かす。
「直前に谷中(晴、1年)の状態が良くなかったので、どうするか悩んだんです。どちらがアドバンテージが取れるかなと考えましたね。3区はたぶんそんなに差が付かない、でも、7区に圭汰を置いたら差が付く。そう思ったので、3区を1年生でしのいで、復路でもう1回チャンスを作れるようにと圭汰を7区に置きました」