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「大谷は瞬発力が違うわ」“世界の盗塁王”福本豊が認めた大谷翔平の“59盗塁”ホントの凄さ「リッキー・ヘンダーソンと同じレベルちゃうかな」
text by
酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph byShunsaku Sakai / Getty Images
posted2025/01/10 17:00
NPB最多の1065盗塁の記録をもつ福本豊(左)が、大谷翔平59盗塁の真髄を解き明かした
「投手やってるのが大きいんやろね。リーグが変わって知らん投手が多いから普通はなかなか走れないはず。でも躊躇してへんし、タイミングよく走ってるでしょ。ほとんどアウトになってないし、ホンマに研究しとると思う。スッとスタートしとるのは、投手の動きをようわかっている証拠やね」
盗塁の極意は目で盗むこと──。それが福本の持論である。
'60~'70年代の近鉄のエース左腕、鈴木啓示のクセに気づいたのはプロ3年目だった。鈴木がマウンドから一塁の自分を見る時はホームに投げ、目線が捕手に向く時は牽制球が来る。こうしたライバル投手たちの些細な動きを見抜いたことが、1065盗塁の礎となった。投手として投げる動きを追究してきた大谷が投手のクセをうまく盗んでいることは、容易に想像できるという。
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「大谷も盗塁はおもろいと思ったやろね。タブレット端末で見るより、ピッチャーをナマで見た方が雰囲気もリズムもわかりやすい。元々、走るのが好きな選手やしね」
瞬発力は「ヘンダーソンと同じレベルちゃうかな」
さらに福本はこう続ける。
「大谷は瞬発力が違うわ」
そこで引き合いに出すのは、自らの通算盗塁数の世界記録を破り、メジャー最多の1406盗塁を誇る名ランナーだ。
「リッキー・ヘンダーソンを見た時、ホンマにビックリした。1歩目をバーンと蹴りだす足の強さ、パワーは日本人じゃ真似できない。でも、大谷はそれを持ってる。ヘンダーソンと同じレベルちゃうかな」
大谷は右足で反動をつけるように地面を蹴り、左足で踏みだす。そのスタートの強さがアメリカのレジェンドに匹敵するという。なお、ヘンダーソンは福本の盟友で、現役時に来日した際は盗塁談義を交わし、'93年には世界新記録樹立の瞬間を現地で見届けた。その姿と重なる大谷の「馬力」も盗塁量産の秘訣だと指摘する。
また、福本は大谷の足元も見逃さない。
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