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「ちょこっと右足のつま先が…」福本豊が解き明かす大谷翔平“59盗塁”の真髄「下半身を少しひねるだけでスタート」【世界の盗塁王インタビュー】
2024/12/29
193cm、95kgの大きな体で、なぜあれほど走れるのか。盗塁数1065の日本記録を持つ「世界の盗塁王」が、スタートの秘密や姿勢の妙など走塁術の真髄を解説する。(原題:[盗塁王の視点]福本豊「59盗塁を生んだ『目』と『馬力』」)
「スッとスタートしとる。バーンと蹴って、ガーッといって……」
大谷翔平の盗塁についてオノマトペのオンパレードでそう評するのは、日本が誇る「世界の盗塁王」である。
メジャー史上初の「50-50」を達成した2024年の大谷。特に周りを驚かせたのは、54本塁打よりも「59」という盗塁の数だった。'23年の20盗塁から大幅に増加。夏以降にペースアップし、エリー・デラクルーズ(レッズ)の67盗塁に次ぐナ・リーグ2位の走りっぷりをみせた。
大谷の盗塁はいったい、何がすごいのか。その謎について解説するのは福本豊、御年77歳。通算盗塁数1065個は当時の世界記録で、14年連続50盗塁、'72年には実にシーズン106盗塁をマークした。'70年代の阪急ブレーブス黄金期をリードオフマンとして牽引した伝説の韋駄天である。
「僕は、大谷は元から盗塁できると思うてましたよ。もっと走れと言ったらもっと走りよるでしょう。むしろ、ホームラン50本の方が難しいやろと思ってたぐらいです」
実は福本は数年前から「大谷は狙えば盗塁王が獲れる」と公言し、走塁センスを認めてきた。だから驚きでも何でもないのだ。
「投手の動きをようわかっている証拠」とは?
そんな福本が発した冒頭の“擬音”にこそ、大谷の盗塁の真髄が隠されている。
盗塁には「3S」という3つの局面がある。スタート、スピード、スライディング。大谷がもっとも優れているのはどの局面か。この問いに福本は断言した。
「やっぱりスタートや」
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photograph by Shunsaku Sakai / Getty Images