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「甲斐(拓也)の獲得は疑問だね」“キャッチャー多すぎ問題”に巨人OBの見解は…?「人的補償は小林誠司になるんじゃないか」
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byNanae Suzuki/Kiichi Matsumoto
posted2024/12/21 11:03
球界No.1捕手の甲斐拓也(右)をソフトバンクから獲得した巨人。今季は44試合の出場に留まった小林誠司は人的補償の候補とされている
――起用法はどうなるでしょう。
槙原 基本は甲斐がマスクをかぶりながら、岸田との併用になるのでは。今は併用も珍しくないですから。試合展開やピッチャーとの相性によって使い分けることで役割が明確なるし、しっかりと準備できる部分はあるんじゃないかな。まあでも、私は全体を見ることができる正捕手がドンといたほうがいいと思っているんですけどね。
――プロテクトも気になるところで、同じ捕手の小林誠司らが挙げられています。
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槙原 今の時点(12月20日)では何とも言えないけど、小林が人的補償としてホークスに行くことになるんじゃないかな。だって、ちゃんと守れますから、ホークスとしては獲っておきたいでしょう。正捕手がいなくなるわけだし。今年は海野(隆司)が中心になるでしょうが、経験がある小林は心強い存在になれる。(相棒の)菅野智之も移籍しましたし、心機一転、新天地でレギュラー争いに身を置くのも悪くない選択。
阿部監督は「意外にしっかり考えるタイプ」
――FAでの大物補強は、昔の巨人を彷彿とさせますね。
槙原 うん。FAではないけど、他にも田中将大や(ライデル・)マルティネスも獲って、さらに来年36歳になる丸(佳浩)のところに同じ左打ちの外国人選手も獲りました。(エンゼルスで大谷翔平とプレーした27歳、トレイ・キャベッジ)。私の時代も毎年のように大物がやってきましたが、やっぱりスター選手がどんな考えを持っている人なのか気になりますし、いい意味で緊張感は生まれる。まあ、効果は入ってみないとわからない部分もあるけど(笑)。良いときこそ、動くことは大事ですからね。
※制度発足後、槙原氏が巨人在籍時代に実現したFA移籍(1994年〜2001年)
94年 落合博満(中日)/95年 川口和久(広島)、広沢克己(ヤクルト)/96年 河野博文(日本ハム)/97年 清原和博(西武)/00年 工藤公康(ダイエー)、江藤智(広島)
――積極的な補強は「来季こそ日本一」という意志の表れにも感じます。
槙原 阿部監督としては厳しい時期を乗り越えてリーグ優勝を果たしたので、これでいいんだと思えた1年だったと思いますよ。でも、日本シリーズを逃したのは事実。だから獲れる選手は獲ってくださいということになっている。
――監督になってから印象は変わりました?
槙原 意外にしっかりと考えるタイプなんだなって。話していても、感情で動くということはあまりないですし、いろんなことを準備している。継投にしてもピッチャーを疲れさせないようにする、とかね。そういう配慮があったからこそ8月、9月を踏ん張れた。それは春先に無理をさせなかった証拠。その場しのぎの考え方だと、ピッチャーはやっぱり疲れちゃうので。
――最近の会話は?
槙原 CSで敗れてから話をしてないからわからないけど……現場に行けばいろいろ話してくれるキャラクターだから、我々からすると取材しやすい監督ですね(笑)。就任1年目で結果を残せたわけですから、自分の道を貫いていけばいいと思います。
〈つづき→投手編から続く〉
槙原 寛己(まきはら・ひろみ)
1963年8月11日生まれ、愛知県出身。ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。プロ2年目の83年に12勝を挙げ新人王を獲得。当時の日本最速である155km/hを記録した。斎藤雅樹投手、桑田真澄投手とともに「先発3本柱」として90年代の巨人投手陣を支えた。94年5月18日の広島東洋カープ戦で、プロ野球史上15人目の完全試合を達成。その後28年間、完全試合の達成はなく、20世紀最後で平成唯一の達成投手となっている。98年の途中からはリリーフに転向。2001年に現役を引退。現在は、野球解説者として活躍中。