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「やるせないっていうか」阪神・佐藤輝明が明かした“本塁打減少の意外な理由”とは?「今年は本当にキツかった…甲子園の広さと風」
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金子達仁Tatsuhito Kaneko
photograph byNanae Suzuki
posted2024/12/06 18:14
新人から4年連続で2桁本塁打を放っているサトテルこと佐藤輝明
甲子園の浜風に苦しめられたのは佐藤一人ではない。'24年、甲子園でホームランを放った左打者は、佐藤を含めてたった6人しかいなかった。
「これまでだと、秋になると追い風が吹いてるなって感じることもあったんですけど、今年に関してはそれもほとんど感じなかったというか」
彼は何も、本塁打の数がキャリア最少だった理由のすべてを甲子園に求めているわけではない。ただ、今年の甲子園が、苦しい時期の自分を助けてくれなかった、という捨てきれない思いがあるようだった。
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甲子園は、佐藤に傷を刻んだ。
本人にとって愉快な経験でなかったことは間違いない。だが、傷を負ったことで、佐藤は少し、それまでの佐藤ではなくなった。
逆方向に柵越えを連発する姿は、昨年の安芸では見られなかったものだった。
スーパースターになれる素材
「そうですか、逆方向に連発してましたか」
西宮市にある野球塾『野球心』の代表にして『兵庫夙川ボーイズ』のGMでもある水口栄二は、安芸での佐藤の様子を伝えると相好を崩した。
「初めて見たときは引っ張りが多い印象でしたから、それは確実に考えてやってますね。というか、逆方向に打とうとして、打ててしまうのが彼の凄いトコ、スーパースターになれる素材ってことですよね」
現役引退後、プロ野球選手の育成を目指して若年層の指導に関わってきた彼は、2年前、大学の先輩でもある岡田彰布に請われて阪神の打撃コーチに就任した。後ろ髪を引かれる思いを残しつつの、就任だった。
「ちょうど、プロになれそうな選手がいたときやったんですよ。大先輩からの誘いやから断るのは難しいですけど、かといって無責任に選手を放り出してしまうのもどうかと思いまして」
最終的に受諾の後押しとなったのは、岡田との関係性プラス、少年たちには手応えを感じていた自分の指導法が、プロという素材を相手にしても通用するのか――という好奇心だったという。
西宮という土地柄もあって、否応なく阪神の情報には接してきたつもりの水口だったが、中に入ってみると舌を巻かされた。
「いや、めちゃめちゃええバッターがおるなと。近本(光司)、中野(拓夢)、大山(悠輔)、それに佐藤。彼は身体の使い方が綺麗なんです。技術的なことを説明するのは難しいんですけど、とにかく、並のバッターには絶対できないことを簡単にやってる」
直接言葉を交わしてみると、門外漢として眺めていたときとはまったく違った人物像も見えてきた。
【続きを読む】サブスク「NumberPREMIER」内の【独占インタビュー】佐藤輝明は2024年に“3つの傷”を負った「叩かれて伸びるタイプなんているんですか?」で、こちらの記事の全文をお読みいただけます。
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