NumberPREMIER ExBACK NUMBER

阪神・参謀が明かす岡田マジックの正体…佐藤輝明に荒療治、大山悠輔には「何も言わないから」「あの降板があったから村上頌樹の活躍が…」

posted2023/10/19 17:01

 
阪神・参謀が明かす岡田マジックの正体…佐藤輝明に荒療治、大山悠輔には「何も言わないから」「あの降板があったから村上頌樹の活躍が…」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

阪神を18年ぶりのリーグ優勝に導いた岡田彰布監督。“岡田マジック”の正体を投打の参謀・今岡真訪&安藤優也コーチが明かした

text by

酒井俊作

酒井俊作Shunsaku Sakai

PROFILE

photograph by

Hideki Sugiyama

 次々と采配を的中させて勝利を引き寄せる指揮官・岡田彰布の背後には、2005年のリーグ優勝の味を知る、2人のコーチの姿があった。打の今岡真訪と、投の安藤優也。参謀たちはいかにして虎戦士の潜在能力を引き出し、チームに岡田イズムを浸透させたのか。
 現在発売中のNumber臨時増刊号「阪神タイガース 栄光の記憶」に掲載の[参謀たちが語る]今岡真訪&安藤優也「岡田マジックの正体」より内容を一部抜粋してお届けします。【記事全文はNumberPREMIERにてお読みいただけます】

岡田監督が作り上げた打線になった

 監督復帰1年目の岡田彰布が若い選手とペナントを持って場内を歩いていた。列の最後尾に連なる今岡真訪にとって、ずっと見てきた「80」の背中が、この日ばかりは一層大きく映る。打撃コーチとして岡田野球を支える参謀が、感慨深げに振り返った。

「岡田監督が作り上げた打線になりましたよね。選手の気持ちを考えることは大事だと思いますが、監督を見ていて、距離を詰めすぎてはいけないと学びました。監督は口数が少ないですが、誰よりも選手の言動や心理を見ていると思います」

 佐藤輝明に施した荒療治が一例だろう。春先から打撃が上向かず、直接指導した。それでも現状を打開できず、6月には二軍降格も命じた。2年連続20本塁打以上の主力にとって2年ぶりの屈辱だ。現役時代、岡田が二軍監督だった頃から薫陶を受けてきた今岡は指揮官の胸中をこう察した。

「監督は必要な時にだけ、必要なことを指導しています。佐藤にとっても、教えられたことや苦しんだことは自分の引き出しになります。結局、自分で考えなさいという監督のメッセージだと思います。

 岡田は選手と一線を画す監督である。

 65歳で孫もいる。以前と比べて選手に話しかける機会が増え、距離が近くなったと評されるが本質は変わっていない。寡黙さが醸し出す威厳は、選手と指導者のフレンドリーな関係が濃くなった近年のスポーツ界では異質だが、この独特の距離感こそ、選手を操る「岡田マジック」の根幹にある。

選手に何を言うかより、何を言わないかが大事

 今岡もまた、岡田と同じように寡黙で、グラウンドで選手に打撃を教える光景はほとんどない。試合前練習では打撃ケージの後ろを動かず、ただひたすら見ている。

「選手は自分の理論を持っています。選手の能力を引き出すためには一方的に指導したり、自分の打撃理論を押しつけると邪魔になるんじゃないでしょうか。だから試合中も、選手に何を言うかより、何を言わないようにするかを考えています。僕も現役の時、いろんなことを言われると、ストライクゾーンの球を確率よく打ちにいくのに雑念になることが多かった」

【次ページ】 沖縄キャンプ初日、大山に伝えたこと

1 2 3 NEXT
今岡真訪
安藤優也
岡田彰布
佐藤輝明
大山悠輔
村上頌樹
近本光司
阪神タイガース

プロ野球の前後の記事

ページトップ