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核心にシュートを!BACK NUMBER
「日本はチームバスケです」…バスケ代表・吉井裕鷹(26歳)がアジア杯予選で語った胸中「コミュニケーションが大事」「話さないとチームがつながらない」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byJMPA
posted2024/11/28 18:01
グアム戦後には試合内容に納得がいかず厳しい表情を見せた26歳の吉井裕鷹。今後の代表チームはアメリカよりヨーロッパ型を目指すべきと語る
実際、2020-21シーズンには旧ユーゴスラビアのスロベニア出身の指導者をアシスタントコーチに招き、ジェッツを念願のBリーグ初優勝に導いている。吉井も今後の楽しみを隠そうとはしない。
「大野さんはヨーロッパの監督寄りのバスケットをしていると思います。かなり、細かいですし。そこら辺で、試合に出ながら成長できているという自信もあります。もちろん、(成長を促してくれるのは)大野さんだけではなく、身の回りの人たち全部ですけどね」
もっとも、行動が伴っていなければ、その発言の説得力は欠いてしまう。では、実際はどうなのだろうか。
もともとはディフェンス能力の高さを買われて日本代表に定着した吉井だが、最近はオフェンス面でもめざましい成果を見せ始めているのだ。
成長著しい吉井の3P成功率
ホーバスHCが選手たちに求める能力の一つが、フリーの状態でパスをキャッチし、素早く放つ3Pシュートである。今月の2試合、吉井は素晴らしい成功率を誇った。
・モンゴル戦:50%(2/4)
・グアム戦:50%(4/8)
「そこはメチャクチャ意識して取り組んでいます。ただ、もっと上手く、もっと良くしていきたいなと思います」
そう話すものの、実はホーバス体制での吉井はどん底からスタートしている。昨年の沖縄W杯では、5試合で計5本の3Pシュートを放ったが、1本も決められなかった。
W杯では、最終的にチームとして目標としていた結果が出たから見過ごされているが、ホーバスHCが求めるバスケの生命線であるキャッチ&シュートの成功率が壊滅的だった。わずか27%で、参加した32カ国中29位だったのだ。地元開催でなければ、アジア最高位の成績を残すことはできなかったと言っても過言ではないだろう。
実は、こんな逸話がある。当時、練習のなかで吉井が放つ3Pがエアボール(※リングにさえ当たらずに外れてしまうシュート)になることがあった。現体制での日本代表は午前と午後の2回の練習を行なうことが多いのだが、午前中の練習で吉井が放った3Pシュートがエアボールになると、チームメイトはこう声をかけていたという。
「今日のエアボールはもう出た。午後の練習では大丈夫だぞ!」