- #1
- #2
核心にシュートを!BACK NUMBER
「僕の中では“鬼ごっこ”なんです」バスケ富樫勇樹(31歳)が語った言葉の真意は? 世代交代、八村騒動…混沌続く代表チームで第一人者が思うこと
posted2024/11/28 18:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
JIJI PRESS
「僕は4年後に向けた『鬼ごっこ』をしていくつもりでいるので」
開放的な空気の漂うグアムの地で、富樫勇樹はそんな言葉を発した。一体、どういう意味か。
バスケットボールの日本代表は、2028年のロス五輪への新たなスタートを切った。それが、2試合の行なわれた今月のアジア杯予選だ。
このタイミングで、およそ12年にわたって日本代表をけん引してきた比江島慎は、代表から退く意向を明かした。今回は自身の所属する宇都宮ブレックスの本拠地・宇都宮で初めて代表戦が開催されるなど、実に多くの要因や理由があり、パリ五輪ではなくこの2試合までは戦うことにしたという。
富樫の発言に込められた「意味」
一方の富樫は、「今後も日本代表で戦い続ける」と宣言した。
ただ、これからどのような気持ちで戦っていくのかについては、あまり語ってこなかった。唯一、その意向が垣間見えたのは最初の試合となったモンゴル戦後のこんな一言だった。
「これからは千葉ジェッツでプレーしているような感覚でプレーしてきたい」
アウェーゲームのために訪れたグアムで改めて、その真意を問うた。
「実は、あれはプレーというより、気持ちについての話なんですよ。日本代表(のユニフォームと活動)に重みがあるということは、これからも変わりません。ただ、もうちょっと『気楽』にやろうかなと」
「気楽」という言葉だけを聞くと、責任を放棄したように聞こえるかもしれない。もちろん、そうではない。
その責任感や自覚は、リスタートを切った今回の活動でも見て取れた。
例えば、初戦のモンゴル戦の第4Q残り1分26秒で日本はタイムアウトをとったが、トム・ホーバスヘッドコーチ(HC)は、あえて指示を一切送らなかった。バスケ界では選手に自覚を促し、自主的に考えさせるためにHCがそのようなアクションを起こすことは少なくない。
あのときコートから戻ってきた若手選手たちに向け、話をしていたのが富樫だった。
「あの時間帯、トムさん就任後の初戦となった中国戦を思い出しました。どういうバスケットをしたいのかを上手く表せない感覚というか。僕らもそうだったので。ただ、代表に入ったからといって、急にシュートが上手くなるわけではないじゃないですか? だから、自分の強みを出してほしいなと思って。伝えたのはそういう感じのことですかね」