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宮里藍、渋野日向子、古江彩佳も届かなかった…23歳西郷真央が米女子ゴルフ“新人賞”を受賞「34年ぶり…日本人からなぜ受賞者が出なかった?」
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南しずかShizuka Minami
photograph byShizuka Minami
posted2024/11/29 06:02
1990年の小林浩美以来となるルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した西郷真央(23歳)
積み上げてきた“処方箋”が、過酷な米ツアーでも1年目から活躍できた要因だった。
「(連戦が続いても)マオはスイングが安定している」とは、新人賞レースで2位だったイムの言葉。西郷の修正力の高さはライバルたちも認めるところだ。
そんな西郷が理想とするスイングがある。米ツアー参戦8年目のスウェーデン人、マデレーネ・サグストロムのスイングだ。
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「力んでるパワーの使い方じゃなくて、動きの良さとそれに効率よくスピードが乗って、実際にボールが飛んでるっていう選手だなと。海外選手のスイング動画を見るのは好きなんですけど、一番よく見る選手です。(試合で)同じ組になったときもスイングを見たりして、勉強させていただいてます」
今季の最終戦、筆者がサグストロムにそのことを伝えたところ手放しで喜んだ。
「えー! マオがそんなこと言ってくれるなんて嬉しい! マオから『I like your swing』って言われたことはあったけど、まさかそんなふうに思ってくれていたとは…。次に試合でマオと同組になったら、私のスイングに似ているか、じっくり見てみようかな(笑)」
この笑みが西郷へのリスペクトを感じさせる。
「マオの印象ですか? とてもクレバーな選手。ジムに行くたびトレーニングに励んでいるのを見かけるんですよ。どうしたら米ツアーで生き残れるか、やるべきことに黙々と取り組んでいると思う」
ご褒美は「愛犬とだらだら」
ツアー最終戦、最終9番ホールの第2打。西郷は残り154ヤードを8番アイアンでピンまで1メートルにつけると、バーディーパットを難なく決めた。
「今週一番良いアイアンショット。手応えと球筋がマッチした」
笑顔が弾けた。研究熱心でひたすらゴルフと向き合う。彼女らしい精確なショットで偉業達成の1年を締め括った。
新人賞獲得のご褒美は「特に考えていなかったですね。帰って愛犬と一緒にだらだらしたい」。歴史に名を残した日本人ルーキーは、束の間の休息を楽しむ。



