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「これが70歳の肉体なのか…?」衰え知らずの藤波辰爾に“宿敵”長州力72歳が「猪木さんを超えて」…念願の小倉城プロレスに見た“巌流島の幻影”
posted2024/11/22 11:04
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
藤波辰爾は笑顔だった。ずっと夢見ていた「お城でのプロレス」が、11月16日、北九州市の小倉城天守閣前広場で行われたのだ。藤波は若い時から巡業先で80近くの城を回ってきた。『藤波辰爾の歴史探訪』という番組でも、多くの城を訪ね歩いている。
山陽新幹線に乗っていると、車内から姫路城や岡山城、福山城などを見ることができる。藤波はそんな城が大好きだった。戦国の世の武将たちとリングに立つ自分を重ね合わせて、士気を高めていたという。話には聞いていたが、筆者は藤波と一緒に城に行ったことはなかった。 そんな折、藤波が小倉城にリングを組んで試合をするというので興味が湧いた。
子どものように笑った藤波辰爾「夢が叶いました」
当日の午後、藤波は一人で入念に屈伸運動をしていたが、顔を上げると子どものようにニコッとした。
「ずっとやりたいと思っていたんですよ。夢が叶いました」
藤波は城に行くたびに「ここでプロレスをしたい」と訴えてきた。だが、場所が場所だけに、話は簡単には進まなかった。
「どこから話をしたらいいだろうって。いくらお城が好きだからって、すぐできるわけじゃない。ここにリングを組みたいねって話して、お城の方はやることに乗り気でも、行政がOKを出してくれないことには進まない。『兵どもが夢の跡』じゃないけれど、戦国の世のお城は各街のシンボルでしょう。今回は町おこしの一環という意味合いも含めて、いろいろな方に協力と後押しをしていただいて、北九州市での開催が現実になりました。このニュースが伝われば、他のお城でもできるんじゃないかな。自分の中ではお城とリングはマッチするんじゃないかと思っています。ウチでもやってみたいというところが出てきてくれたらうれしいですね。小倉城がスタートです。市民の方が集まってくれて、喜んでもらって、お城の再発見にもなる。そんな活動も自分の役目の一つかなと思っています」