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「これが70歳の肉体なのか…?」衰え知らずの藤波辰爾に“宿敵”長州力72歳が「猪木さんを超えて」…念願の小倉城プロレスに見た“巌流島の幻影”
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2024/11/22 11:04
大好きな城でのプロレス大会という長年の夢が叶い、小倉城を背にポーズを決める70歳の藤波辰爾。11月16日、北九州市
長州力「藤波さんに猪木さんを超えてもらいたい」
小倉城の「名誉城主」となった藤波は、この日を待ちわびていた。息子の怜於南(LEONA)も父親の夢を実現するために奔走した。イベントとして行われた「こどもプロレス教室」はLEONAらが担当した。リングが組まれた広場には屋台のスペースもあった。多くのキッチンカーが並び、うまいものを楽しむことができた。
「藤波家の食卓」もキッチンカーを出して、焼うどんを振る舞い、伽織夫人も姿を見せてファンでにぎわっていた。また、この日は立ち見なら無料でプロレスを見ることができた。地元のローカル局に加えて、NHKも取材に来ていた。
NHKといえば、一昨年、藤波が伝説の一曲『マッチョ・ドラゴン』を歌って話題になった。トークショーで来場した長州力に「あれはやっちゃいけない」と突っ込まれていたが、「オリコン4位になったんですよ」と藤波は自慢気だった。
長州は突然、“らしくない発言”をした。
「藤波さんのことは気になりますよ。いつかリングを降りるときが来るだろうけれど、ぼくは引退試合に行くつもりはない。それにはいろんな方や、選手が来るでしょう。でもね、家族を大事にした方がいい。支えてくれたのは家族でしょう。オレには藤波さんに、(アントニオ)猪木さんを超えてもらいたいというのがある。わかりづらいだろうけど、家族をリングに上げて終わった方が……。そうしたら猪木さんを超えられると思う」
藤波がきょとんという表情を見せた。「オレが言うと変か」と長州は笑った。
12月で71歳になる藤波だが、昨年よりいい体をしていた。サポーターはどこにもない。足も太く、びっくりするほど張りがある。「これが70歳の肉体なのか」と驚いてしまう。
「長州はあんなこと言っていたけど…」
江戸時代初期には全国に3000ほどの城があったと言われているが、現存天守は全国に12しかない。そのうち姫路城など5つが国宝に指定されている。
「できることなら、12の現存天守でプロレスをやりたい。それらを全部回るまでこの体をキープしないと。再建されたものも含めると100、城跡や山城まで入れたら何千ですね」