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今だから明かす“日本シリーズ指笛騒動”“9月の不調”…DeNA東克樹・独占インタビュー「勝ち星より大事なもの」「3年やってこそ」のエース哲学
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byNanae Suzuki
posted2024/11/18 11:04
日本シリーズ第3戦、連敗スタートからの流れを変える力投を見せた東
「やっぱり勝手に周囲の期待は感じていましたし、その中で結果で示さなければいけないという責任、立場であることは理解していました。ただ過剰に反応すると、やっぱ動きに影響すると思ったんで、僕としては今永さんやバウアーがいたときのように、僕は僕のことを精一杯やった結果、チームにいい影響が出ればいいなと思ってやってきましたね」
泰然自若。自分のベストを尽くすことで、周囲に姿勢を示していく。
開幕からコンスタントに結果を出してきた東だが、気になったのは勝負どころの9月に苦しんだことだ。
9月の不調、本当の原因とは
9月は5試合に登板し防御率4.20と極端に悪かった。とくに9月10日の阪神戦(甲子園)では5回0/3を投げ5失点を喫して負け投手となり、32試合連続QSも途絶えてしまった。首位攻防戦となった試合後「大事なところを任され、試合を作ることができず申し訳ない」と東は力なく答えている。あの時期、なにが起こっていたのだろうか。やはり疲労という面もあったのだろうか。
「言い訳になってしまうのですが……」
東は躊躇するように口を開いた。けれども今はただ、真実が知りたい。
「疲労ではなく、指の皮がめくれてしまっていたんです。前の試合(9月3日)の広島戦で人差し指をやってしまって、行けるかどうかわからない不安の中で投げていました。投球の際の感覚の誤差というよりも、次にめくれたら、もう今シーズン終わってしまうなと考えたし、恐る恐る投げていたというか、けれども一流のバッターがいる中、それではやっぱり打たれてしまう」
指先を気にしながらのピッチング。コンディションの善し悪しとは違う、アクシデントの中で東は葛藤していた。9月の不調は、これまでバッテリーを組んできた山本祐大の負傷による離脱が原因ではないかとの憶測もあったが、東は「それはないですね」と強くかぶりを振った。
通常であれば登録抹消し、治療期間を設けるべきだが、首位攻防戦の渦中、先発の駒も少ないこともあって、東はマウンドに立っていた。首脳陣も当然、配慮したいと思いながらも、東に懸けていた。