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サムライブルーの原材料BACK NUMBER
「濃すぎる1年ですね」2回連続代表“追加招集”の男・関根大輝は重圧のたびに成長する…目標「プレミア、CL、W杯」へ「全てを出し切ります」
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Nakachi/JMPA
posted2024/11/09 11:02
パリ五輪では4試合中3試合に先発出場した
これは、参考になる――。成長するためのアンテナを常に張りめぐらせているから、彼は1試合のなかで才を伸ばすことができるのだと言えまいか。
世代別でずっと代表に選ばれたわけではなく、国際経験もはっきり言って乏しい。それでも緊張感なく自分のパフォーマンスを最大限に発揮できるのはなぜか。
その疑問をぶつけると、関根は口もとに柔らかな笑みを浮かべて言った。
「いや、試合前にちゃんと緊張はしているんです。でも試合になったら吹っ切れる感じがあって。別にここでサッカー人生が終わるわけではないし、とにかく自分の今持っているものを全部出そうと。極限まで緊張する試合って、アドレナリンが出ているのもあるんでしょうけど、リミッターが外れるんです。そうなると限界以上のものを出せる気がします。あのときもそうでしたから」
あのとき――。
限界以上のプレーが出たという感覚
今春に行なわれたパリオリンピック出場権が懸かるU-23アジアカップ。準々決勝は開催国カタールとの対戦だった。負ければ本大会行きを逃がすことになるという重圧に関根自身、ドが付くほどの緊張状態だったという。カタールを延長の末に撃破し、勢いづいた日本は優勝にたどり着くことになる。
「前の試合で韓国に負けていたし、開催国との対戦、負けたら終わりっていろんな状況もあって、チーム自体ピリついていました。でも試合に入ったら緊張よりもアドレナリンが出まくって、延長に入ってもありえないくらい走れたんです。相当な走行距離だったにもかかわらず、足がつるとか、そういう気配も全然ない。それでいて冷静にプレーできていて、限界以上のものが出せているっていう感覚もあった。スペイン戦もまさに同じでした」
ド緊張の先に待ち受ける、心が震える場所。不安に支配されるのではなく、逆に「全部出そう」と吹っ切ることができる。
どんなことも自分にとってはチャンスになる。サイドバック転向もまさにそうだった。