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「普通にやったら負ける」DeNAを激変させた選手ミーティング…筒香嘉智が提案、牧秀悟が招集、あのベテランの発言で「ムードがガラッと変わった」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/11/04 18:40
シーズン3位からの下克上で日本シリーズを制し、26年ぶりの日本一に輝いた横浜DeNAベイスターズ
「1、2戦とあまり変わってなくて、みんなどこか地に足がついていないというか、何かフワフワした感じというか……。何となくですけど、このままじゃまずいなという雰囲気でした」
こう語るのは2017年を知るベテランの1人の柴田竜拓内野手だった。
柴田だけではなく筒香も同じ空気を察知していた。
「僕とクワ(桑原)、柴田、カミ(神里)、戸柱さんで何となく話しているときに、『これじゃダメだな』という話になったんです」
そこで筒香が提案した。
「もう1回、みんなで話し合おう」
筒香の提案に応えて、牧が練習前の全体ミーティングが終わった後に、改めて選手だけ全員が残ってミーティングを招集した。
ベテランたちが次々と声を上げた。
筒香、桑原、山﨑だけでなく、宮崎も…
まず語りかけたのは筒香だった。
「みんなプロなので個人の成績を出すために準備して、フィールドに立つのは当たり前。それじゃあ現実的に何を変えるかといえば、みんながお互いをサポートし合わないといけないよね。ソフトバンクはやっぱり凄く強い。普通にやったら負ける。だから自分たちは束になることでしか勝つことができないから、束になる強さをもう1度、みんなで意識して行かないとダメだと思う」
筒香に続いて桑原、投手陣のリーダー役の山﨑康晃投手がそれぞれの思いを語りかけた。
そしてもう1人、その選手が語り出すと若手選手の間でもちょっとしたざわめきが起こったという。
ベンチ入り最年長の宮﨑敏郎内野手だった。
その体型からファンの間では「ハマのプーさん」の愛称で知られるベテランは、職人気質で普段からあまりこういうシチュエーションで選手たちに語りかけるタイプではない。
その宮﨑が選手たちを見回して、宮崎なりの言葉でこう語りかけたという。
「とにかくチームとして何かを得て終わろう。そこにトライしないと勝てないから、どんどんみんなでやっていこう」
ムードがガラッと変わった
その時のロッカーの雰囲気を柴田はこう振り返る。