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「普通にやったら負ける」DeNAを激変させた選手ミーティング…筒香嘉智が提案、牧秀悟が招集、あのベテランの発言で「ムードがガラッと変わった」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/11/04 18:40
シーズン3位からの下克上で日本シリーズを制し、26年ぶりの日本一に輝いた横浜DeNAベイスターズ
「筒香さんとかの話でいい意味で、それまでのどこか落ち着きがないような雰囲気が一気に張り詰めた空気になったんですけど、宮﨑さんがああやって話すことは滅多にないですから。そこでみんな何かまた一歩、乗り出すみたいになりました。あのミーティングでチームのムードはガラッと変わった」
そして試合に入ると、柴田はいきなり1回の攻撃でチームの変化を感じたという。
勝つために、つなぐ意識
先頭の桑原が右翼戦に二塁打を放って、送りバントの1死三塁で打席に立ったのは牧だった。
カウント1ボール1ストライクから3球目を打った遊ゴロで3戦目にして初めてDeNAは先取点を奪った。
「シーズン中の牧ならあそこはチャンスを広げようとヒット狙いで行くところ。でもしっかり1点を取るためにゴロを転がすバッティングをしていた。あのバッティングを見て、『アッ、変わったぞ』と僕は思いました」
つなぐ意識、勝つために、チームのために、いま自分はどういうプレーを求められているのか。そのことを考えながら筒香の言葉通りにチームが1つの束となった。
そこからベイスターズの快進撃が始まったのである。
実はこの練習前の選手だけのミーティングはその後の4、5、6戦でも続けられている。
「昨日の試合はどうでしたか?」
「何か思うことがあったら言ってください!」
牧の声に応えて4、5戦目の試合前には筒香と戸柱、山﨑がそれぞれ声を挙げた。
「自分の思いとチームのあるべき姿、今後どうしないと良くならないかという話をさせていただきました」
戸柱は振り返る。
「今日も全員で最後まで行くよ」
「野手がすごくいい雰囲気でやっていることに、背中を押される部分も大きかった。だからブルペンに行く前にそういう野手の姿をしっかり見て、改めてブルペンに入ろうという話を投手陣にはしていたんです」
こう語る山﨑はそんな投手陣の姿を伝えながら話した。