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「オオタニの功績は歴史的だが…」アリ、ジョーダンと並ぶには「ケガをしない」こと!? 米准教授が語る“スポーツ史の大谷翔平”…左肩亜脱臼への「決断」は?
text by
谷口輝世子Kiyoko Taniguchi
photograph byGetty Images
posted2024/10/28 17:00
ヤンキースとのワールドシリーズ第2戦の7回、盗塁を試み、二塁に滑り込んだ際に左肩を負傷した大谷
「リハビリ中」で異例の活躍。あとは「積み重ね」だが…
ハドソンの苦労話から考えても、2度目の手術とそこからのリハビリというのは相当なストレスがかかることが分かる。そんな「リハビリ期間中」にもかかわらず、メジャー史上初の「50-50」を成し遂げたことは、極めて異例の記録達成といえる。その偉業もまた、歴史的に見ると大きな意味を持つ。
大谷はその「リハビリ期間」のシーズンで、エンゼルス時代にはできなかったチームとしての地区優勝やワールドシリーズ進出も果たした。現在、自身初となるワールドシリーズ制覇へ向けて、戦っている真っ最中だ。
先に挙げた伝説のアスリートであるマイケル・ジョーダンらは、みなチームとしての結果も残している。これから先、大谷がアメリカの「歴史に残るアスリート」に名前を刻んでいくのならば、当然、チームとしての成績も無視できないだろう。
今季、ここまでの大谷は手術からの復帰シーズンにおける衝撃的な記録達成によって、誰とも比べることのできない凄味を見せてきていた。あとはこれから長く活躍して、個人の通算成績・チームとしての優勝回数を積み重ねることができれば、大谷はアメリカのスポーツ史に輝く伝説のアスリートリストに名前を連ねる存在になり得るのかもしれない。
――と、ここまで書いたところで、大谷が第2戦の7回に二盗を試みた際に左肩を負傷し、球団から「左肩亜脱臼」と発表されたとの報道が飛び込んできた。
この原稿を書いている時点で、詳細な検査結果はまだ明らかになっていない。ワールドシリーズの残り試合も打席に立つかもしれないし、出場しないかもしれない。ロバーツ監督は翌日の会見で「本人がプレーできる状態だと感じていれば、出場させない理由はない」と前向きな姿勢を見せていたが、実際にどうなるかは不透明だ。
ケガを押してでも、頂点まであと一歩に迫った歴史的なシーズンを全うするのか。はたまたリスクは回避して今後の「積み重ね」にベットするのか。果たして大谷の決断は、後のスポーツ史にどんな描かれ方をするのだろうか?