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「まさか」か「やはり」か…なぜ慶大・清原正吾をドラフトで指名しなかった? 父が所属した3球団のトップを会場で直撃!「それはちょっと…」
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byShigeki Yamamoto
posted2024/10/25 17:01
中継番組でも長尺を割いて紹介ビデオが流れたが、最後まで清原の名前が呼ばれることはなかった
5位から来季の巻き返しを図るオリックスは、高校生4人を指名した昨年から一転、今年は支配下指名6人のうち5人が大学・社会人と、即戦力で戦力の拡充を狙った。編成トップの福良GMが「見ていない」と言うのが本音なら、育成に時間が必要な清原の名前は俎上にも載らなかったということだろう。
ジャイアンツの見解
返答に困る質問に真正面から答えてくれたのは巨人・水野雄仁スカウト部長だった。和博氏は1996年オフにFA宣言して小さい頃から憧れていた巨人に移籍し、9年間プレーした。長男の正吾は巨人時代の2002年8月23日に誕生している。
「12球団100人以上のスカウトが長い時間をかけて色々な選手を見ている。その上でどこからも指名がなかったということ。それが事実ということじゃないでしょうか」
端的なその言葉は、トップレベルであり続けるプロ野球のプライドであり、指名を受けた選手へのリスペクトでもある。
判断材料が足りない
そもそも、正吾は野球界では異例の経歴を歩んできた。小学校3年時に野球を始めるも、中学はバレーボール部、高校時代はアメリカンフットボール部に所属。6年のブランクを経て慶大で硬式野球部に入部して本格的に鍛え始めた。リーグ戦デビューも2年秋と遅かったが、短期間で才能を発揮し4年春のリーグ戦では一塁手としてベストナインにも選ばれた。
あるセ・リーグの編成担当者は「うちは絞り込む前段階のリストにも(清原が)入っていなかった」とした上で、評価の難しさを明かす。
「そもそも、実戦を重ねていないし判断できるだけの材料がない。(DH制がない)セ・リーグは特に、実績がなくてかつ一塁手しかできないというのも厳しい。もちろんいい選手だとは思いますよ。ただ、お父さんの存在を抜きにして、素材としていいものを持っているという選手なら他にもたくさんいる、というのが本音だと思う。他球団との間でも、(清原について)話題になったことはなかったです」
清原がプレーした六大学も担当するアマチュアスカウトは、マスコミから注目度の高い選手を取り巻くこんな問題点を口にする。