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バレーボールPRESSBACK NUMBER
「じつは破格1億円オファーを断っていた…」女子バレー古賀紗理那“まだできる”の声に本音「復帰は絶対にない」“28歳で引退決断”の真相
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byNaoki Nishimura/AFLO SPORT
posted2024/10/25 17:02
引退セレモニーでファンに最後の挨拶をした古賀紗理那(28歳)
オファーがあったのは今が初めてではない。東京五輪からの3年で、トルコ、イタリア、アメリカ、各国リーグのクラブからだけでなく、日本のJTマーヴェラス(現・大阪マーヴェラス)でプレーしたアンドレア・ドルーズからも「アメリカにできる新しいリーグで一緒にやらない?」と連絡が来たこともあった。
興味がないわけではなかった、と言いながらも、なぜ海外でプレーする選択をしてこなかったのか。答えはシンプルだ。
東京五輪を終え、再び「やる」と決めた時点で、古賀はパリ五輪をゴールと定めてきた。プロとして生きる異国の選手たちと戦えばスキルは向上するかもしれないが、短い時間で言葉の壁や環境に適応できるか。熟慮した末に、古賀は日本で身体づくりから見直し、パリ五輪で悔いの残らない最高のパフォーマンスをして引退する、という道を選んだ。
だから破格の契約金や年俸にも踊らされることなく、自ら決めた選択を貫き、パリ五輪を最後に引退した。
「選手として生きるよりも…」父の教え
考え方のベースには、リオデジャネイロ五輪に落選した2016年に父・裕正さんからかけられた言葉があった、と振り返る。
「『選手として生きるよりも、それからの人生のほうが長い』と。当たり前のことなんですけど、本当にその通りだと思ったし、だったら私は自分が一番いい時だろうが、悪い時だろうがここで辞めると決めて、そこまで頑張って、また次の楽しみを見つけたい、と思った。それ以上の理由はないですね。お金をいくらもらえたとしても、選ぶのは自分で、生きるのは自分の人生。いつか復帰するだろうと無責任に言う人もいるけれど、私の決意は固い。これから先も選手としてやることは、絶対にないです」