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バレーボールPRESSBACK NUMBER
「じつは破格1億円オファーを断っていた…」女子バレー古賀紗理那“まだできる”の声に本音「復帰は絶対にない」“28歳で引退決断”の真相
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byNaoki Nishimura/AFLO SPORT
posted2024/10/25 17:02
引退セレモニーでファンに最後の挨拶をした古賀紗理那(28歳)
では、これからをどう描いているのか。まだ構想段階で何も決まっていない、と言いながらも古賀が語るイメージは具体的だった。
「本気でうまくなりたいと思っている子たちに向けたクリニックをしたい。全体に向けたバレー教室ではなくて、本気で上手になりたい子たちに向けて、ブロックの基準の取り方とか、そのブロックに対する攻撃の仕方、バレーボールの考え方をちゃんと教えたいんです」
日本代表だけでなく、NECでプレーする試合時も、古賀は具体的な言葉で話せる選手だった。
「何がよくて何が悪かったか」「何をしようとして何ができなかったか」
コート内でも常に周囲の選手へ向けて対策を打ち出す。
昨シーズン、Vリーグ連覇を達成した直後、セッター塚田しおりは「ミーティングで対策してきたことだけでなく、相手のブロックが今どうなっているか。的確な指示を出してくれて、『だからこうしよう』と言える紗理那に引っ張られてきた」と明かした。
エースとしてただ点を獲るだけでなく、チームを動かす。2季連続でリーグを制し、昨季だけで言えば皇后杯と併せたダブルでのMVP受賞が何よりの証明だった。
その一方で、紛れもなく日本女子バレーを象徴する選手であったはずなのに、主将を務めた日本代表では悩む姿ばかり見てきた。
「もっとこうしよう、と言っても伝わらない。必死で走って後ろを見ても誰もいない。あー私、浮いてる、って自分が一番感じていました」
うまくなりたい。もっと考えて動ける組織になりたい。がむしゃらになればなるほど、孤独を感じる。
古賀の言葉は、女子バレー界が抱える課題を浮き彫りにする。
(後編に続く)