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「ミトマとケイト以外は不調だ」ブラジル人記者の“豪州戦ホンネ評価”MVPは三笘薫でも中村敬斗でも守田英正でもなく…「悲観すべきではないよ」
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/10/17 17:00
思わぬ形で先制を許したものの、勝ち点1を確保した日本代表。ブラジル人記者の率直な評価は?
「そう考えざるをえないね」
――オーストラリアは守備の意識が非常に強く、放ったシュートは1本だけ(注:前半7分、マイケル・デュークが右からのFKを頭で合わせたが、ゴールを大きく外れた)で、枠内シュートはなし。唯一、日本のゴールへ向かって飛んだボールが、谷口のオウンゴールでした。日本は、なぜオーストラリア守備陣を攻略できなかったのでしょうか?
「森保監督が用いた攻撃の戦術は、これまで通り。しかし、南野と堂安はサウジアラビア戦に続いて効果的なプレーが少なかったし、上田はソウターにほぼ封じ込められた。久保は右サイドから何度かチャンスを作ったが、大きな脅威とはなれなかった。フットボールでは、すべてのアタッカーが素晴らしいプレーをする、という試合はほとんどない。この試合のように、複数の選手が不調ということもある」
――このような状況で、途中出場の中村が決定的な仕事をした。
「素晴らしかったね。彼が入ってから、日本の左サイドでは三笘と敬斗の2人が脅威を与え続けた。今後も敬斗がクラブで好調を維持するようなら、来月の試合(注:15日のインドネシア戦、19日の中国戦)ではこの2人を同時に先発させてもいいんじゃないかな」
MOMは三笘でも敬斗でも守田でもなく…
――この試合の両チームのマン・オブ・ザ・マッチを選ぶとしたら? AFCが選ぶMVPはサウジアラビア戦に続き、守田英正でしたが。
「日本は、センターバックの板倉滉。最終ラインの右サイドで相手の攻撃を跳ね返し、精度の高いパスを繰り出して攻撃面でも貢献した。オーストラリアでは、先に話したようにCBソウターが素晴らしかった」
――その他の日本選手の出来をどう評価しますか?
「町田浩樹はこの試合でも安定していた。守田は、中盤の守備を支え、精度の高いロングパスなどで攻撃面でも貢献した。田中は、守備面は良かったが、もっと攻撃に絡んでほしかった。彩艶は、ほとんど仕事がなかったから評価不能(笑)。オウンゴールを与えた谷口には、厳しい評価を与えざるをえない」
――W杯3次予選の4節を終えて、日本は3勝1分(得点15、失点1)の勝ち点10でグループ首位。オーストラリア、サウジアラビア、バーレーンが勝ち点5で並ぶ。この状況をどう捉えますか?
「ホームでオーストラリアと引き分けたのは残念だったが、それでも悪くない状況にある。11月の2試合は、グループ下位の2国とのアウェーゲーム。決して気を緩めることなく、攻撃的なスタイルを貫いて、連勝してもらいたい」
サウジアラビア戦の後、チアゴ記者は「この状況であれば、オーストラリアには絶対に勝たなくては」と語っていた。その期待は裏切られ、この試合で日本が与えたオウンゴールと攻撃陣の不調については強い不満を表明した。その一方で「特に悲観すべき結果、内容ではなかった」と、彼にしては珍しく寛容だった。
それは、不確実性の高いフットボールというスポーツにおいて、試合内容と結果が常にリンクするわけではないことを熟知しているからだろう。
〈日本代表特集:つづく〉