「後輩たちの目もありますし、大学まで通わせてくれた両親への感謝もあります。やっぱりここまで3年間何もできなかったので――最後の1年ぐらいはチームに貢献してやろうと思っています」

　おそらく今回の出雲駅伝は、最初から原晋監督の思惑とは異なる展開だったはずだ。

　10月とは思えない高い気温から1区が牽制のし合いになり、昨年のように好記録を持つIVリーグ選抜のトゥンティベイトもレースを引っ張ってくれない。前半型のオーダーを組んだ青学大にとっては「外れ」のレース展開だった。原監督はこう振り返る。

「１区が思ったよりスローペースだったので、後続を思いのほか離すことができなかった。そこから少しずつ歯車が狂ってしまった」

　逆に終盤の5区、6区に上原琉翔（3年）・平林清澄（4年）というエース格を残して優勝した國學院大や、1区にルーキーの桑田駿介を使い、アンカーに大エースの篠原幸太朗（4年）を起用した駒大にとっては願ってもない展開だったはずだ。

「鬼門」の出雲は破れたが…それでも箱根は“本命”のワケ

　青学大にとって5年以上優勝から遠ざかる「鬼門」の出雲駅伝を落とし、今季の駅伝3冠の夢は絶たれた。

　それでも鶴川の言葉を信じるならば、ここからさらにチームは本領発揮してくるということになる。駅伝シーズンが本格化し、距離が長くなればなるほど春シーズンから積み重ねた距離走の効果は大きくなり、選手たちの適性も上がるはずだからだ。

　しかも今季、青学大には今春「史上最高」と言われるほどのスカウトで入学したルーキーたちも控えている。そんな黄金ルーキーたちですら出雲路のメンバーには絡めないほどに、今季の青学大の層は厚い。しかも原監督が出雲駅伝をそういったルーキーの「経験の場」としなかったことで、かえって駅伝シーズンへの本気度も伝わってきた。

　で、あるならば――。

　最大の大舞台である年始の箱根路で「主役」になるのは、やはりフレッシュグリーンのチームなのかもしれない。