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三笘薫との約束「俺の記録を超えろ」を胸に…“2年目で15ゴール”川崎F・山田新なぜ覚醒?「得点王も狙える」「まだまだ足りない」24歳の渇望
posted2024/10/08 11:05
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph by
JIJI PRESS
泥臭いストライカーには似合わない、美しい放物線だった。
J1リーグ第33節、川崎フロンターレはFC町田ゼルビアに4-1で勝利した。今季一度も逆転負けのなかった相手を沈めた2点目が、山田新による技ありのループシュートである。
「浮かせば入る」絶妙ループで得点ランク日本人トップに
38分。GK谷晃生のキックミスを見逃さなかった脇坂泰斗から山田に届けられたボールは、そのままワンタッチで打てるように計算し尽くされたパスだった。
「トラップしてもいいシーンでしたけど、ヤスくん(脇坂)がダイレクトで前を向ける強さで置いてくれたので、スムーズにゴールに向かうことができました」
飛び出していた谷の姿は視界に入っていた。
そこで山田は低くて強いキックではなく、優しいタッチでボールを蹴り上げて空を狙った。練習でもときどき狙うというループシュートは谷の頭上を大きく越えていき、雨空に綺麗な弧を描く。必死にクリアしようとジャンプした望月ヘンリー海輝の頭をかすめて、ボールはゴールネットに吸い込まれていった。
剛のFWが魅せた、長い対空時間のループシュート。だが、山田本人は内心ヒヤヒヤしていたのだと苦く笑う。
「GKが前に出ていたので、浮かせば入るなと……危なかったですけど(笑)。狙い通りかどうかはわからないですけど、うまく入ってよかったです」
貴重な逆転弾を記録した山田だが、この日の仕事はゴールだけではない。
攻守で献身的な役割も厭わないストライカーは、いつものように球際で身体を張り続けた。例えばマルシーニョと三浦颯太の左サイドアタックで生まれた同点弾は、右サイドで山田の粘り強いキープから味方に繋げ、それが絶妙なカウンターとなって逆サイドに展開されていったものだ。
「ボールサイドに人が寄っていたし、逆サイドにマルシーニョがいるので、そこに出せばチャンスになるというのはわかっていました。綺麗な形ではないけど、起点になれました。自分のところで収めて展開できればチャンスになっていたので、そこの回数はもっと増やしていきたいですね」