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「猪木が秘書になってくれと言っている」燃える闘魂がホレた“福岡の老舗”とは?「後追いしそうに…アントニオ猪木がすべてなので」店主が語る猪木愛 

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原悦生

原悦生Essei Hara

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posted2024/10/01 11:01

「猪木が秘書になってくれと言っている」燃える闘魂がホレた“福岡の老舗”とは?「後追いしそうに…アントニオ猪木がすべてなので」店主が語る猪木愛<Number Web> photograph by Essei Hara

アントニオ猪木が書いた「藤よし」の看板の前で笑顔を見せる「サダさん」こと店主の早川禎行さん

「後追いしそうに…アントニオ猪木がすべてなので」

 2019年の1月、猪木は福岡で仕事があり、大晦日からサダさんと一緒に過ごした。

「フグを食べたいと言われると思ってフグは活かしておいたんです。その時です。『サダ、何にでもサインしてあげるから持っておいで』とズッコさんに言われた。前の店の時、満天さんに頼んで猪木会長に書いてもらった『味魂』の木の板の看板があった。いい看板だったんで、それを『藤よし』の店先にもそのまま置いておいたんです。また、看板を書いていただいてよろしいですか? と」

 こうして「藤よし」の看板になるものが書かれた。今では固定されているので、裏側になった「味魂」の文字は見ることはできない。サダさんが前の店で使っていた名刺も猪木の文字によるものだ。

「親父は88歳になりましたが、今も元気で昼間は毎日ここに来ていますよ。夜は家で飲んでいます」

 そう言うと、猪木と鴻之輔さんの写真を見せてくれた。

 サダさんには猪木に言っていない秘密があった。プロレスラーを諦めきれなかったサダさんは、スペル・ボンベロ(消防士)という覆面レスラーになって地元のリングに上がって10年くらいやっていた。リングネームは消防団に入っているからだった。猪木は知ってか知らずか、そのことには触れることはなかった。サダさんは繰り返した。

「猪木ロスなんです。妻も子供もいるのに、後追いしそうになりました。アントニオ猪木がすべてなので。『バカ言ってんじゃねえよ、お前は』って言われるでしょうけど……。猪木さんの夢をよく見るんですよ。今度、柿下温泉の土と水を持ってお参りに行きたい」

 サダさんは長男の寛太郎君を抱き上げた。

「こいつ、3歳から猪木さんみたいな顔するんですよ」

 息子の名前は猪木に電話して、猪木寛至の「寛」をもらったものだ。店に張られたポスターには、こう書かれていた。

「目指すは三代目で100周年! より美味しいを求めて……」

<「猪木が愛したコーヒー」編へ続く>

#2に続く
「ああ、猪木だ。スゲー、猪木が来た」驚きの初来店…アントニオ猪木が愛した“コーヒーの名店”秘話「カウンターの一番端に座り、小さい声で…」

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