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バレーボールPRESSBACK NUMBER
「14番を新人にわたすのか!」石川祐希は“スター軍団”ペルージャで歓迎されている? 現地記者が聞いた“バレーボールを愛する街”の本音
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byPA Images/AFLO
posted2024/09/28 11:05
スーペルコッパを制し、ペルージャの今季1個目のタイトル獲得に貢献した石川祐希
石川は新しい町、新しいクラブでどう過ごしているのか。
ペルージャ入りしてから10日ほど経った頃、人口16万人強の町に彼を訪ねてみた。
山間の、さらに高台にある中心街は、石畳と坂道が織りなす中世の町並みそのもので、そこに現代スポーツの面影を見つけることは難しい。
町の西外れに位置するパラ・バルトンへ練習の取材に赴いた。コートには石川含むパリ五輪組も合流し、チーム全員が揃っている。思わず、息を呑む。
2m半×3mはあろうかという特大ボードに詳細な練習メニューがびっしり書かれてある。練習自体は公開されているが、一般ファンの撮影は禁止。地元メディアですら撮影を許されているのは冒頭の数分間だけだ。常勝軍団を預かる指揮官アンジェロ・ロレンツェッティが情報漏れを嫌がるのは容易に察しがつく。
ウォームアップからブロックワーク、3人レシーブからスパイクディグ、サーブから対面6人セッションと交互に組まれた攻撃と守備の練習メニューが流れるように進んでいく。
「(ペルージャに来てみて)トレーニングがしっかりと運営・管理されていて、オーガナイズされている環境だと感じます。練習に前日のデータが用意されていたり、きちんと組織されたクラブだなと思います。チームメイトのウエイトトレーニングを見ていても皆、しっかり重さを上げているし、周りの質も高い」
練習前に聞いた石川の言葉からは、新天地で大いに刺激を受けていることが伝わってくる。
ペルージャでは、まだ“主役”ではない
昨季まで4年を過ごしたミラノで、彼は主役の座を得ていた。チームの輪の中心に“ユーキ”はいた。だが、王者クラブに合流して10日あまりの時点での彼は、あくまで“新人イシカワ”だった。
午後の体育館に、後ろ手を組んで歩き回る監督ロレンツェッティの声が響く。2メートル台の大男たちは無言で粛々と従う。
石川はイタリアでの最初のクラブ、モデナ時代にロレンツェッティの指導を受けた。
「成長したな!」と監督から歓迎されたでしょうと本人に尋ねると、その通りだと笑みをこぼした。
「当時のことは監督も覚えてくれてますし、これから試合や練習をやっていく中で、成長した姿を見せたいと思っています」
〈第2回に続く〉