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「久保建英と浅野拓磨が笑顔で握手」4年ぶり日本人対決で敗戦にイラ立っても久保がスペイン語で語った「荷車を引くんだ」…カメラマンが見た事実
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2024/09/25 17:02
久保建英vs浅野拓磨。スペインでは4年ぶりとなる日本人対決が実現した
そして後半開始から久保が投入された場面では、ピッチインした久保へマジョルカサポーターからも拍手が送られた。通常の久保のポジションである、右ウイングで先発出場したセルヒオ・ゴメスと交代すると、久保はそのまま右サイドを主戦場とした。その久保には、相手左サイドバックであるホアン・モヒカがマンマークについた。
徹底マークがつく中でも、久保が果敢にボールを要求し、細かいステップで縦への突破やカットインからのサイドチェンジを狙った。またCKのキッカーを務めた久保が、ショートコーナーからシュートチャンスを得るなど攻勢を強めたのだが……。
サイドでボールを受けた久保がやや孤立気味になってしまっていたのは懸念点か。サポート不足に久保が手を挙げて苛立ちを見せるシーンもあり、右サイドでのパートナーを務めるアマリ・トラオレの負傷の影響は小さくない。
ソシエダは60分に3枚交代を行い、更なる攻勢を求めた。またマジョルカも63分、70分とメンバー交代を行い、エースFWのベダト・ムリキと浅野、ダニ・ロドリゲスを投入し、追加点を目指した。
浅野は持ち前の俊足を生かし、守備ラインの裏へ抜け出す動きや、ムリキに合わせパスを引き出す動きなどを見せた。両チーム共に最後まで得点を目指したが、さらなる得点は生まれないまま、1-0でマジョルカが勝ち点3を獲得した。
久保の「荷車を引く」スペイン語に感じる責任感
マジョルカは、今季ホーム初勝利をサポーターたちに届けることができた。さらに23日の第6節ベティス戦も敵地で2-1の勝利。現実的には、残留争いからどれだけ離れてシーズンを終わらすことができるかが目標となるチームにとって――3勝2分2敗のスタートは、非常にポジティブと言える。
一方、連敗を喫したソシエダは続くバジャドリー戦も久保がチャンスメイクしながらも0-0のスコアレスドローに終わり、7試合を戦った時点でわずか1勝のみの16位に沈んでいる。ここ4試合では得点を奪うこともできておらず、状況は深刻だ。
この試合後、インタビューに対応した久保は、“Tirar del carro”という言葉を使い、自らの意志の強さ、チームへの気概を示した。
スペイン語で”荷車を引く”という意味から転じて、「チームを引っ張る」や「重責を背負う」の意となる。無得点ドローや敗戦が続く中で、時に攻撃的にもなる問いかけに対し、臆すことなくカメラの前に立つと、このように語った。
「ここで喋っているのは、チームを牽引したいと思っているからです。自分がチームにとって重要かどうかは分からない、でも最も情熱を注いでいる選手の一人であることは絶対だよ」と。
マジョルカ戦、久保の投入により、ソシエダの攻撃が好転したのは明らかだった。過密日程の影響は大きいが、怪我人を多く抱える中で、久保をベンチに置く余裕があったのかはイマノル監督の責が問われるところだろう。
特に前節の対マドリー戦では、欧州王者を相手に黒星を喫したとは言え善戦を見せ、復調の兆しを感じさせていた。それだけにマジョルカ戦の先発メンバー構成に問題を探す動きは強くならざるを得ない。
主将も久保も足早に…深刻なチーム状況
マジョルカ戦、試合終了のホイッスルがなると共に、このチームの要となる久保、マルティン・スビメンディが、チームメイトと言葉すら交わさずピッチを足早に去った。チーム状況の深刻さを物語るシーンだった。
週中にはヨーロッパリーグ初戦のニース戦が控える。過密日程と苦戦が続くラ・リーガの中で、ソシエダは復調できるのか――。