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オリンピックPRESSBACK NUMBER
「20年ぶり歴史的勝利」を叶えた選手の本音…長谷川・石井組が明かす“日本ビーチバレーの現状「環境はよくなった」「ガツガツした選手は…」
text by
吉田亜衣Ai Yoshida
photograph byVolleyballWorld
posted2024/09/03 11:01
パリ五輪で躍動した長谷川暁子/石井美樹組
日本ビーチバレー界の現状「競技環境はよくなっている」
時間の長さに関係なく、個と個がぶつかり合いブラッシュアップしながら、チームとして結束力を高めていった長谷川/石井組は、「ビーチバレーの歴史が遠のいていたと思うので、これを機に競技人口が増えたり注目されたり、日本のビーチバレーが盛り上がっていってほしい」と口々に話す。
しかし、長谷川は今年39歳、石井は35歳とベテランの域に入り、今後の活動も未定だという。これからどんな人材が日本のビーチバレーをリードしていくのか。日本バレーボール協会のビーチバレーにおける強化体制は、5年ぶりに外国人スタッフが起用される予定だと聞くが、道半ばで止まっている事業も見受けられ、日本の強化の方向性は現時点ではっきりと見えてこない。
「私自身、当初はスポンサーが見つからなくてお金がなくてご飯が食べられない時期もありました。それでも世界で勝ちたいから、貯金を崩して自腹で国際大会をまわってきました。ここまでくるのに簡単ではなかったです。今は遠征費を負担してくれる会社さんも増え、選手の競技環境もよくなっていますよね。それでも、ガツガツしている選手は少ないように思います」
五輪での“歴史的勝利”をつなげていくために
パリ五輪後、石井は現在の国内の状況を俯瞰していた。一方、長谷川はパリ五輪を節目にいくつかの選択肢を設けながらも、長く活躍できる競技の特性やその価値を広めていきたいと話す。
「コートに入るときに会場MCから『38歳で五輪初出場!』とアナウンスされて会場がやたら盛り上がっていて恥ずかしくなりました(笑)。逆に私が出場することで、ビーチバレーは長く競技できるんですよ、というアピールにもなっていると思いますが。でも今後は、子どももほしいですし、もちろん出産の有無関係なく、身体が元気なら続けていきたいと思っています」
日本のビーチバレー界はこの先、パリ五輪の歴史的勝利を価値あるものとして引き継ぐことができるだろうか。24年間もの空白が繰り返されぬよう、その真価を問い続けたい。
《第2回「進化するユニフォーム」編に続く》