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「20年ぶり歴史的勝利」を叶えた選手の本音…長谷川・石井組が明かす“日本ビーチバレーの現状「環境はよくなった」「ガツガツした選手は…」 

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吉田亜衣

吉田亜衣Ai Yoshida

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posted2024/09/03 11:01

「20年ぶり歴史的勝利」を叶えた選手の本音…長谷川・石井組が明かす“日本ビーチバレーの現状「環境はよくなった」「ガツガツした選手は…」<Number Web> photograph by VolleyballWorld

パリ五輪で躍動した長谷川暁子/石井美樹組

パリ五輪で快進撃を起こせた理由

 チーム平均身長173.5cm。大型化が進む世界においてサイズがあるほうではない2人が武器として磨いてきたのは、「すべてのプレーを平均点以上、上げていくこと」(長谷川)だった。

 とくにサーブの練習量にはこだわってきた。相手がとりにくい場所を狙う感覚を研ぎ澄まし、選手たちが納得いくまでサーブ練習に時間を費やすのは、長谷川/石井組にとって当然のミッションだった。

 ディフェンスフォーメーションにおいては、当初は長谷川がブロック、石井がレシーブに専任していたが、ブロックによる体力消耗を回避し常にベストなパフォーマンスを継続させるため、ツーブロック体制へシフトした。

 フィジカルの強さに定評のある長谷川は、滞空力のある力強いブロックで壁を作り、逃げてきたボールを石井がきっちり拾い、決定打を放つ。逆に石井のブロックは、跳んでから最高到達点までのスピードが速く、相手の攻撃に合わせタイミング勝負でシャットアウトを狙っていく。

 サーブで揺さぶりながら、タイプが異なるブロックフォーメーションを試合状況に合わせてマッチングしていった長谷川/石井組は、抜群のコンビネーションを発揮し国際大会での結果もコンスタントに叩き出していった。そして第一目標のアジア大陸予選で五輪出場権を獲得し、最終目標のパリ五輪で快進撃を巻き起こした。

ビーチバレーは“究極のチームスポーツ”

 しかし、ひとつの目標に向かって足並みを揃えていく中でも、当然チーム内で個と個のぶつかり合いはある。長谷川は言う。

「私にないものを美樹は持っている。妥協せずに練習に打ち込む姿は素晴らしいです。その分、美樹はすごくこだわりもあるので、こだわりすぎるゆえ、私自身に求めてくるものも高い。でも私にも譲れない部分もあるし、その都度自分の意見を言うようにしていました。美樹もそれにしっかり応えてくれました」

 これまで長く組んだパートナーもいれば、短い期間で終わったパートナーもいるという石井は、理想のペア関係についてこう話す。

「チームによっては、一人がコーチみたいにアドバイスして戦っているチームもあるけれど、それでは勝てない。コーチではなくお互い選手だし、自分の持ち場はしっかり集中してプレーして、迷ったときに『今どう思っていますか?』とパートナーに聞けるスタンスがいい。アキさんとはそれができたし、ぶつかり合ったけどそれは悪いぶつかり合いではなかった。最後まで目標を同じところまで持ち続けて戦うことができました」

 ビーチバレーはコートに2人。ネットを挟んだ対戦型スポーツの中でも味方とボールをつないで得点を狙う究極のチームスポーツだ。パス、トスのズレ、ブロックとレシーブのポジション位置のズレは得点の成功率に影響するだけではない。そのギャップを放っておくと、2人の意思疎通に隙間が生まれる可能性も潜んでいる。

 ボールを拾い、つなぐためには技術だけではなく、2人の心のつながりが必要。それがビーチバレーという競技だ。長谷川は、石井との8カ月間を振り返る。

「サーブでどちらかの選手が狙われて得点を取れなかったら、その選手の責任にしてしまいがち。パートナーがミスをしたらそこに目を向けるのではなく、得点を取るには自分はどうしたらいいかに集中する。自分のできることを増やして個の能力を伸ばすことに注力すれば、ストレスもかからないし、当然チーム力も高まっていく。美樹とはどんなときもコミュニケーションを図れましたし、本当にいいチームを作ってこれたな、と思います」

【次ページ】 日本ビーチバレー界の現状「競技環境はよくなっている」

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