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甲子園の風BACK NUMBER
「あれは“誤報”だった」大社高スピードスター藤原佑“プロ志望届提出”のニュース…本人が記者に明かした「いや、出してないけん」大社旋風のその後
posted2024/08/29 11:21
text by
田中仰Aogu Tanaka
photograph by
NumberWeb
今夏の甲子園を最も驚かせた島根県立大社高校。あの「大社旋風」が終わってから数日後、筆者は島根県出雲市の大社高校を訪れた。【全2回の後編/前編も公開中】
「あ、甲子園エラーや!」
8月22日、大社高校。始業式を終えた選手たちがグラウンドに姿を現す。主に1、2年生である。引退直後の3年生たちはジャージ姿で遅れて登場する。「SNSで変な投稿を上げたりしないでな。頼むぞ!」。監督室の前で石飛文太が話しかける。
不思議だ。目前にいるジャージ姿の選手たちはどこにでもいる高校生といった雰囲気であるが、甲子園に立つ彼らは大人びて見えた。エラーが許されない、1点取らなければ負ける、そんな状況でも落ち着いた表情でプレーしていたせいだろうか。
「今日教室に入ったら『あ、甲子園エラーや!』って女子からイジられました」
発言の主は1番センター、藤原佑である。早稲田実戦、7回にセンター前安打を後逸した。持ち前の俊足で追いかけるも、ボールはバックスクリーンまで転がり1点を失った。「負けてたらたぶん、野球やめてたと思います」。あの試合後、勝利に沸く大社メンバーの中で、藤原だけがしゃくりあげながら報道対応をしていた光景が思い出される。
甲子園を終えた今、藤原にこのシーンについて聞きたかったわけではない。ある真偽を確かめたかった。
「いや、出してないけん」
大社の藤原佑がプロ志望届を出す意向――そんなニュースが準々決勝直後に報じられた。プロ球団からドラフト指名されるために選手が提出するプロ志望届の期限は、昨年の場合、10月12日だった。ドラフト会議の2週間前である。それゆえ驚いた。こんなに早いタイミングで本当に、藤原本人が「プロ志望届を出す」と発言したのだろうか。