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「(本塁打数は)目的にならない、勝つための手段」底知れぬ男、大谷翔平…数字に熱狂するファンの夢「50-50」さえ超える“究極の目標”とは
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph byKatelyn Mulcahy/Getty Images
posted2024/08/28 17:00
サヨナラ満塁HRで40-40を達成して祝福される。大谷の望みはワールドシリーズでこんな場面を再現することか
「今シーズンは、ゴールを特に決めていなくて、本当に1試合1試合を頑張りたいと思っています。初めてのチームで、慣れるところからチームの特徴をつかみながら馴染めればいいと思っているので。今、だいぶ慣れてきて、ポストシーズンに向けて自分のやることにしっかり集中したいと思います」
エンゼルスに在籍した過去6年間は、たとえ個人成績が傑出しても、チームの白星につながらず、もどかしい試合が続いた。毎年のように、シーズン終盤にはプレーオフ進出への望みが薄れ始め、いかに「野球少年」と呼ばれる大谷であっても、純粋かつ高いモチベーションを維持することが簡単ではない日々を過ごした。
すべてはワールドシリーズを制するために
初のFA(フリーエージェント)となり、ドジャース移籍を決断した際には、自ら巨額契約のほとんどを後払いにする、異例の契約を申し出てまで、中長期にわたる戦力強化を経営・フロント陣へ依頼した。年俸や条件が選手の評価とされ、ビジネスライクな米国社会では、極めて異例の移籍交渉だった。
すべては、ドジャースの一員として、ワールドシリーズを制し、頂点に立つためだった。
昨年12月14日。初めてドジャーブルーのユニホームに袖を通し、入団会見に臨んだ大谷は、ステージ上で口元を引き締めつつ、ハッキリと言った。