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「怒るとめちゃ怖い」高校野球監督…“ある選手”が書いた30冊の日誌「その中身」…それでも愛された神村学園・小田大介とは何者か? 甲子園ウラ話
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/08/27 11:05
今夏の甲子園、準決勝で敗れた神村学園
「とにかく熱い。24時間、野球のことを考えてると思います。朝、8時から練習だとすると7時半には来て準備をしているし、夜は、僕ら夕食を食べたあとに10時くらいまで練習するんですけど、それも最後までいてくれるんです」
神村学園は大会中、4度、頭をカミソリでそり上げた。座禅は日課でもある。大会期間中は携帯電話の所持も禁じられていた。厳格な野球部でもある。
小田は怒るととても怖いそうだ。小田にそう向けると、途端に目つきが鋭くなった。
「そらそうでしょうね。中途半端は絶対に許さないので」
その感じだけでも怖さが想像できた。
「30冊の日誌」その中身
ただ、そんな小田だが選手たちは好きでたまらないのだという。釜が話す。
「好きです。大好きです。入学してから毎日、日誌を書いていて、もう30冊になるんですけど、必ず一行目は〈監督さんを日本一の男にする〉って書くんです。そうやって書いてるの、たぶん、僕だけじゃないと思います」
まさにテレビドラマの世界だ。
小田は、スポ根ドラマの金字塔といっていいだろう、ラグビードラマの名作『スクール☆ウォーズ』の大ファンで、試合会場へ行くときは到着の5分前にバスの中で必ず主題歌の『ヒーロー』をかけるのだという。
ただ、今回は宿舎が甲子園球場から徒歩6、7分ぐらいのところにあったため恒例の儀式は行われなかった。ただ、小田は1人で聴いていた。
「僕は聴いてましたよ。部屋で。(先発)オーダー用紙に記入するときは、いつも聴いていました」
小田に選手が慕っていることを話すとこう返された。
「好きじゃないです、あいつらのこと」
――えっ? 好きじゃない?
「好きじゃない。愛してます」
青春とは愛です!
いつか日本一になったとき、インタビューでそう叫ぶことが小田の夢だ。