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巨人ドラ1・浅野翔吾が史上2人目の満塁弾!“2年目の飛躍”が坂本勇人にそっくり…阿部慎之助監督も「スターになってほしい」と期待大なワケ
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2024/08/26 11:32
8月14日の巨人対阪神戦で満塁本塁打を放った浅野翔吾(19歳)。巨人では坂本勇人に次いで史上2人目となる10代での快挙だった
「それが一軍でも通用したので、これは続けていきたいと思います」
短く持ったバットで放った満塁弾。飛距離も落とさずに対応力を上げていけたことが、成長の証ということだ。
「若い選手を育てるためにこそ補強が必要だ」と語っていたのは、原前監督だった。要は打線全体の得点力があれば、我慢して若手野手を使い続ける余裕も生まれる。2年目の坂本は「8番・ショート」に定着して、夏場には調子を落とす場面もあったが、基本的には使い続けることができた。それはラミレスや阿部だけでなく高橋由伸外野手(元監督)や李承燁内野手ら当時の打線はメンバーが揃って、得点力が高かったからでもある。
浅野の場合は、当時ほどの打線の迫力は望めないにしろ、夏場までに比べれば打線の得点力が多少なりとも上がってきているのもプラス材料である。
阿部監督の期待「個人的にはスターになって欲しい」
何より今は浅野に勢いがある。
8月20日からの広島との首位攻防3連戦でも「8番・右翼」で起用されると12打数で初三塁打も含む5安打3打点とフル回転。8月23日の中日戦では打順も「6番」に上がり、3打数2安打。翌24日には「2番」へと打順が上がると、先制本塁打に2本の二塁打などあわやサイクルの4安打と勢いは止まらない。
「戦っている姿勢が僕には良く映るので、こういう若い世代、若い人たちが、何年後かにはチームを引っ張っていかないといけない。こういう子が1人でもいないと! 僕、個人的には彼がスターになって欲しいので、その期待を込めてずっと使っていきます」
阿部監督は浅野への期待をこう語る。
今から16年前に坂本が出てきたときに、“和製ジーター”となることへの期待を書いた記憶がある。スラッとした細身の体躯ながら、体幹の強さに裏打ちされた守備力と内角打ちのうまさはニューヨーク・ヤンキースのスーパースターだったデレク・ジーター内野手を彷彿させた。そして坂本は「ザ・キャプテン」と呼ばれたジーター同様に、巨人でもキャプテンシーを発揮してチームリーダとなっていった。
そしていまの浅野は“和製ベッツ”への期待を抱かせる存在である。
身長171cm。プロの世界では決して恵まれた体格ではない。ただ抜群の身体能力でスピードとパワーを兼ね備える。それはまさに175cmとメジャーリーガ―の中では小柄ながら、パワーとスピード、何より頭抜けた野球センスを誇るロサンゼルス・ドジャースのムーキー・ベッツ外野手の姿が重なるのである。
タイプは違うが坂本同様に“持っている”スター候補生の出現である。