ショートのレギュラーだった二岡の離脱をきっかけに不動のポジションを手にした坂本。浅野はエリエ・ヘルナンデス外野手の骨折というアクシデントで1軍に昇格してチャンスを掴んだ。

そんな２人の共通点をひとことで言えば“持っている”ことである。

浅野の満塁弾ーー巨人で2人目の快挙

　そして浅野もまた、いきなりの満塁アーチで、その存在感をアピールした。

　浅野の満塁弾は今季2度目の1軍昇格から2試合目となる8月14日の阪神戦だった。

「打った瞬間は自分では入ったと思わなかったので、ずっとボールを見ていたらレフトが見上げたので『ヨッシャー！』ってなりました」

　浅野本人がこう振り返った場面は両軍無得点で迎えた4回である。2死満塁から、阪神先発の左腕・及川雅貴投手の内角寄りに入ってくる129kmのスライダーを捉えた。打球は綺麗な放物線を描いて、黄色に染まった左翼席へと消えていった。10代での満塁ホーマーは巨人ではもちろんあのときの坂本以来、2人目の快挙だった。

8月14日の阪神戦で巨人では史上2人目となる10代での満塁弾を放った浅野翔吾　©︎SANKEI SHIMBUN

「エリ（ヘルナンデス）の代わりに（一軍に）上げてもらっているので、打たないといけないなという感じだったので……。（2死となって）あそこが0点で終わってしまうと、流れも向こうにいってしまう。ああいう場面でのバッティングはファームでも練習してきていた。ファームで出来ても一軍で出来ないものもあると思うんですけど、一軍でできたのが収穫かなと思います」

　試合後の浅野のコメントだった。

　今季は「経験を積ませたい」という阿部監督の配慮で、開幕一軍メンバーに名前を連ねた。しかしその時点ではまだまだ浅野にとって一軍の壁は高く、厚かった。出場3試合で9打数無安打。犠飛による1打点が唯一残した記録だった。そして開幕からわずか10日後の4月8日には二軍に落ちた。

「お前は相手からまっすぐしか打てないと思われている。下では変化球も打てるようにしてこい！」

　二軍落ちを通告された阿部監督からは、こう言われて送り出された。

「ファームに落ちてから、ただただ試合をこなすのではなく自分の課題に向き合ってやってきた。それが一軍にもつながっているんじゃないかと思います」

二軍落ちを経て…

　監督の言葉を胸に刻んだ浅野も、この二軍落ちを経て大きな手応えを得ていた。

「待ち球をしっかり絞りながら、追い込まれたら真っ直ぐも変化球も両方マークできるように。ファームではそういうことを考えて打席に立ってきました。変化球を待ちながら真っ直ぐに対応できるようにというのをずっとやってきて、それが一軍でもできている。それがいいことだと思います」

　そのためにバットを少し短く持って、対応力を上げられるように工夫した。

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