パリ五輪を通じて一番印象に残ったプレー、ゲームを選ぶとすると……うーん、いや、印象的だったのはゲームではないですね。実は五輪前の練習中、毎回のように八村塁さんとマッチアップしたんです。PFは僕と塁さんしかいなかったので、本当にいつでも塁さんと対峙し、それこそが最も記憶に残るマッチアップになりました。

　塁さんと一緒にプレーすることで、世界レベルのフィジカルの強さ、スピードを知りました。本当に嬉しい時間で、毎日毎日練習を楽しみにしていました。日本のスーパースター、NBAでも主力でやっている選手を長時間ガードするなんてなかなかないですからね。もちろん今、僕が塁さんを100%ストップするなんてできるわけがないですが、うまくなるためには、まずそのレベルの人にやられなければいけません。

　だから最初の頃は全然ダメでも、次の日はこういう動きをしようとか、こういう当て方をすればいいとか、少しずつわかってきたところもありました。最後の方、何回か止められる場面もあったんです。そういった経験は自分のオフェンスの参考にもなりますし、短い時間ですが自分の成長が見えたことは大きかったと思います。

八村塁　©︎Kaoru Watanabe/JMPA

　塁さんと一緒に1対1をやったあとでは、強化試合、五輪でも誰についてもやれるっていう自信がつきました。試合で対戦する相手もうまいですけど、僕は塁さんくらいの選手とやってきているんだから、って。塁さんとはコート外ではほとんど話はできなかったんですけど、僕もそのレベルまでいきたいですし、こういう選手しかいない世界、NBAという場所まで辿り着きたいと改めて感じる機会になりました。

「雄太さんのリーダーシップはすごい」

　もう一人のNBA経験者・渡邊雄太さんともマッチアップしましたよ。雄太さんはケガの影響もあったので、回数は多くはなかったのですが、もともと塁さんよりも僕に近いタイプのプレーヤーだけに得るものは大きかったです。

渡邊雄太　©︎Kaoru Watanabe/JMPA

　雄太さんからはすごくいろいろアドバイスももらえて、プレーのことも教えてもらえました。チームを一丸にする能力を持っていて、リーダーシップはすごいですね。僕は雄太さんのNBAキャリアも見てきて、頑張る選手だと知っていたんですが、NBAでも自分の力で這い上がった心の強さみたいなものを間近で見れたのは貴重な経験になりました。こうやって練習では塁さん、雄太さんと交互にマッチアップした感じだったので、“自分はいい位置にいるな”なんて心の中で思っていました。

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