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核心にシュートを!BACK NUMBER
「自信を失った選手を使うことはできません」…なぜトム・ホーバスHCは富永啓生を“使えなかった”のか? その「最大の理由」と「チームの課題」
posted2024/08/07 17:01
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Kaoru Watanabe/JMPA
前編では富永啓生が起用されなかった理由として、「各ポジションの役割の変化」と「守備のマッチアップ問題」を挙げた。
ただ、最大の理由は以下のところにあると筆者は考えている。
3つ目の理由は、自信の欠如だ。
「自信を失った選手を使うことはできません」
国際大会を戦う選手のメンタル面をトム・ホーバスヘッドコーチ(HC)は特に重視している。それは、大会前に出した著書『スーパーチームをつくる!』(日経BP)のなかでもたびたび言及している。昨年のW杯で西田優大のプレーイングタイムが短かった理由としても、メンタル面を挙げている。
「ワールドカップが始まった頃に、西田選手はボールを運んで組み立てることに不安を感じてしまった。そこで、自信をなくしてしまった彼に、本番では短時間しかプレー機会を与えることが出来ませんでした」
あるいは、別のところではこんな厳しい表現も使っている。
「世界大会では練習をはるかに上回るプレッシャーがかかります。自信を失った選手を使うことはできません」
一番の理由は「富永は自信を失ってしまった」とホーバスHCが判断したからではないだろうか。そしてそれは、大会前の富永のプレーを見た多くの人が感じていたことでもある。
大会前の富永の1試合平均での3Pシュートの本数と成功率の変遷を見てほしい。6月下旬のオーストラリアとの2連戦の平均、7月頭の韓国との2連戦の平均、本大会直前の欧州遠征でのドイツとセルビアとの2試合の平均の推移は以下の通りだ。
・対オーストラリア:6.5本中3.5本成功(53.8%)
・対韓国:2.5本中0.5本成功(20%)
・欧州遠征:5.5本中0.5本成功(9%)
一方で、昨年のW杯での1試合平均は6.4本中2.4本成功(37.5%)だった。