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「自信を失った選手を使うことはできません」…なぜトム・ホーバスHCは富永啓生を“使えなかった”のか? その「最大の理由」と「チームの課題」

posted2024/08/07 17:01

 
「自信を失った選手を使うことはできません」…なぜトム・ホーバスHCは富永啓生を“使えなかった”のか? その「最大の理由」と「チームの課題」<Number Web> photograph by Kaoru Watanabe/JMPA

日本史上最高のシューターの呼び声も高かった23歳の富永啓生だが、パリ五輪ではほとんど出場機会を得ることができなかった

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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 パリ五輪で日本のファンを熱くさせたバスケ日本代表。結果こそ3連敗に終わったが、強豪国と互角に戦い抜いた試合内容は、日本バスケが新たな時代に突入したことを示唆するものだった。一方で、その舞台で「日本最高のシューター」として期待された23歳の若者は、本来の輝きを放てなかった。その裏には、一体なにがあったのだろうか?《全2回の2回目/1回目を読む》

 前編では富永啓生が起用されなかった理由として、「各ポジションの役割の変化」と「守備のマッチアップ問題」を挙げた。

 ただ、最大の理由は以下のところにあると筆者は考えている。

 3つ目の理由は、自信の欠如だ。

「自信を失った選手を使うことはできません」

 国際大会を戦う選手のメンタル面をトム・ホーバスヘッドコーチ(HC)は特に重視している。それは、大会前に出した著書『スーパーチームをつくる!』(日経BP)のなかでもたびたび言及している。昨年のW杯で西田優大のプレーイングタイムが短かった理由としても、メンタル面を挙げている。

「ワールドカップが始まった頃に、西田選手はボールを運んで組み立てることに不安を感じてしまった。そこで、自信をなくしてしまった彼に、本番では短時間しかプレー機会を与えることが出来ませんでした」

 あるいは、別のところではこんな厳しい表現も使っている。

「世界大会では練習をはるかに上回るプレッシャーがかかります。自信を失った選手を使うことはできません」

 一番の理由は「富永は自信を失ってしまった」とホーバスHCが判断したからではないだろうか。そしてそれは、大会前の富永のプレーを見た多くの人が感じていたことでもある。

 大会前の富永の1試合平均での3Pシュートの本数と成功率の変遷を見てほしい。6月下旬のオーストラリアとの2連戦の平均、7月頭の韓国との2連戦の平均、本大会直前の欧州遠征でのドイツとセルビアとの2試合の平均の推移は以下の通りだ。

・対オーストラリア:6.5本中3.5本成功(53.8%)
・対韓国:2.5本中0.5本成功(20%)
・欧州遠征:5.5本中0.5本成功(9%)

 一方で、昨年のW杯での1試合平均は6.4本中2.4本成功(37.5%)だった。

【次ページ】 ホーバスHCの「勝負師」としての采配は…?

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