オリンピックへの道BACK NUMBER
「(代表選手で)いちばん強い」永瀬貴規の“キャラだけじゃない”柔道界のリアルな評価…素顔は「超努力家」、ウルフアロンに勝った大学時代
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byTetsuya Higasikawa/JMPA
posted2024/08/22 17:32
パリ五輪柔道男子81キロ級で金メダルを獲得した永瀬貴規
「永瀬ほど努力を重ねた男はいません」
つまずいたこともある。2017年には右膝の内側側副靭帯と前十字靭帯損傷の大怪我を負い、実戦への復帰に1年を要した。東京五輪後も金メダリストの重圧か、勝ちきれない時期が続いた。
それでも浮上してきた原動力は、東京五輪で自らを語った言葉が示している。
「僕の長所は気持ちで、折れずに最後まで攻め抜く姿勢だと思っています」
決して折れることなく、努力を重ねて課題を解消してきたからこそ、井上氏は東京五輪後に賛辞を惜しまなかった。
「永瀬ほど努力を重ねた男はいません。努力は人を裏切らないことを証明しました」
パリ五輪を終え、すでに練習を再開している
パリ五輪が閉幕して4日――リオデジャネイロ、東京五輪後と変わらず、早くも畳で汗を流している。3大会連続でメダリストとなってなお変わらない姿勢がある。
2020年からは母校の長崎日大高校で恩師らとともに少年柔道大会「永瀬貴規杯」を開いている。コロナで県内の大会が次々に中止になったのを機に始めたもので、参加者全員にサインをするなど交流しつつ普及に尽力してきた。昨年は大会の中で行われた抽選会の「練習しに来てくれる券」に当たった福岡の柔道クラブをスケジュールを縫って訪ね、全員と乱取りするなど指導にもあたったという。
それも永瀬貴規という柔道家の持つ一面を示している。