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柔道・村尾三四郎の本音「(ルーレット)僕には回ってこないだろう」鈴木桂治監督は「さすが国際柔道連盟…」パリ現地記者が見た“リネール確定ガチャ”の真相

posted2024/08/07 18:32

 
柔道・村尾三四郎の本音「(ルーレット)僕には回ってこないだろう」鈴木桂治監督は「さすが国際柔道連盟…」パリ現地記者が見た“リネール確定ガチャ”の真相<Number Web> photograph by AFLO

柔道混合団体決勝代表戦でリネールに敗れ、悔しがる斉藤立

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雨宮圭吾

雨宮圭吾Keigo Amemiya

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AFLO

 シャンドマルス・アリーナの巨大モニターで運命のルーレットが回り始めた。金メダルの行方を大きく左右するルーレットだ。

 おそらくフランスを応援する人は「出ろ」と思っていた。そうでない人は「出るな」と思っていた。

 8月3日に行われた柔道の混合団体。日本と開催国フランスの決勝は、男女各3階級を戦い終えて3―3で代表戦にもつれ込んだ。どの階級の対戦になるかは抽選によって決まる。国際柔道連盟(IJF)によれば、それはコンピューターによるランダムな決定だ。

 観客の大半を占めるフランス人が期待していたのは男子90kg超級の目。ここにはテディ・リネールがいるからだ。

「リネール確定ガチャ」あの名(迷)シーン

 前日の個人戦100kg超級で4つ目の五輪金メダルを獲得した柔道界のスーパースター。聖火リレーの最終点火者を務めたように、柔道の枠を超えて今大会を象徴するアスリートの一人でもある。

 そんな選手が、母国開催の五輪で、柔道競技の掉尾を飾る試合で、最強のライバル国を相手に、金メダルを懸けて畳に上がる。

 逆に安っぽく思えるほどにドラマチックな条件が揃い、ついでに言えば、リネールは本戦で斉藤立に延長までもつれながらも内股で一本勝ちしていた。90kg超級が出たらそれはフランスの勝勢と言えた。

 会場中がモニターを凝視し、くるくる回るルーレットが徐々に速度を落としていく。出るか? 出るのか? はい、出ました90kg超級! 場内はいくつものトリコロールが打ち振られ、やんややんやの大歓声に包まれた。

 映像演出のチープさゆえだろうか、くじ引き、じゃんけん、あみだくじの方がなぜか納得できる。ボタンでポチっとしてませんよね? ランダムですよね? と問いかけたくなるような、リネール確定ガチャと言われるのも仕方のない名(迷)シーンだった。

村尾三四郎の本音「僕には回ってこないだろう」

 ともかく代表戦が始まった。

 試合中にもかかわらず、観客は「ラ・マルセイエーズ」をチャント代わりに歌っている。日本では絶対にお目にかかれない光景。斉藤は互いに指導2の状況まで粘ったが、6分26秒、大内刈りでまたもや畳に投げつけられた。こうしてドラマはフランスにとっての大団円を迎えた。

【次ページ】 村尾三四郎の本音「僕には回ってこないだろう」

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