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「類まれな身体能力」「体重がありながら…」関係者が語る斉藤立の“人柄だけじゃない”本当の評価…パリ五輪まさかの5敗でも、規格外の将来性
posted2024/08/16 11:03
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Getty Images
個人種目のあとも、混合団体戦のあとも、涙がやむことはなかった。
柔道男子100kg超級の日本代表、斉藤立は初めての大舞台であるパリ五輪でただただ無念を表情と言葉にした。
8月2日の100kg超級では準決勝で金民宗(韓国)に背負い投げで一本負け。続く3位決定戦ではアリシェル・ユスポフ(ウズベキスタン)に腕ひしぎ十字固めを決められメダルを手にすることはできなかった。
「これで自分は日本に帰れるのかと思っていて……。ほんとうに情けない気持ちでいっぱいです」
団体決勝での“対リネール2連戦”
翌日、混合団体戦の初戦で日本はスペインと対戦。斉藤より一階級下である100kg級のニコロズ・シェラザジシビリに技ありを奪われ敗れた。準々決勝と準決勝は出場がなかった斉藤は決勝のフランス戦で再び畳に上がる。
日本が2つ先勝して迎えた第3試合、斉藤の相手はテディ・リネール。世界の英雄との実力差は明らかだった。ゴールデンスコアに突入するまで粘ったが最後は内股で一本負けを喫した。3勝3敗で並び、代表決定戦にもつれると抽選の結果、斉藤とリネールの再戦となる。ここでもゴールデンスコアに突入するが、大内刈りで一本負け。日本の銀メダルが決まった瞬間だった。
「ほんとうにまだまだ未熟だったなっていう気持ちです」
大一番で敗れ続けた責任を背負う姿があった。それは寄せられる期待に応えられなかった悔しさでもあった。