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「巴投げを警戒すると…」「戦うのが難しい」柔道・角田夏実に“投げられた選手たち”が語ってきた恐ろしさ…じつは阿部詩が“3連敗した過去”も
posted2024/08/10 11:05
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Getty Images
7月27日の柔道女子48kg級で巴投げを軸に金メダルを獲得した角田夏実。フランスとの混合団体戦決勝では57kg級で銅メダルを獲得したシジクと対戦し、巴投げを鮮やかに決めて一本勝ちをおさめた。
「来ると分かっていても止められない」
これまでもそう評されてきた得意技の威力は、パリでも遺憾なく発揮された。
巴投げにとどまらない。寝技と関節技、特に腕ひしぎ十字固めは巴投げと並ぶ武器だ。その連携に真骨頂がある。
◆◆◆
角田が52kg級の頃、東京五輪代表には3人の有力候補がいた。
この階級で長年第一人者であった中村美里の後継者と言われ、数々の実績を残していた志々目愛、成長著しい阿部詩、そして社会人になって台頭してきた角田である。
同階級の日本人選手「警戒していたのですが…」
社会人になって2年目の角田が2人と対戦して勝利し、大きな脚光を浴びることになったのは2016年12月のグランドスラム東京だった。
志々目は準決勝で角田と対戦。寝技の攻防の中で腕ひしぎ十字固めを決められ、一本負けを喫した。
「角田選手の特徴は警戒していたのですが」
翌年、世界選手権優勝を果たした志々目は2018年4月の全日本選抜体重別選手権決勝で角田に巴投げで技ありをとられて敗れた。
「巴投げをかけられるのを警戒してしまったために守りに入ってしまって、自分から攻めていくことができなかったです」
警戒していても技をかけられ敗れたことに悔しさを露わにした。