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「誰もが勝てると思った」バレー男子イタリア戦…エース石川祐希復活もコーチ陣が語る“遠かった最後の1点”「1、2セットはうまくいきすぎた」
 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byAsami Enomoto / JMPA

posted2024/08/24 11:00

「誰もが勝てると思った」バレー男子イタリア戦…エース石川祐希復活もコーチ陣が語る“遠かった最後の1点”「1、2セットはうまくいきすぎた」<Number Web> photograph by Asami Enomoto / JMPA

パリ五輪準々決勝でイタリアに敗れたバレーボール日本代表

「ドイツ戦の最初はいいプレーをしていたが、試合の結果やふくらはぎをつったことで少し自信を失ったように感じる。ただ次の試合では戻っているだろうし、イタリア相手に彼は特別な感情を持っているので期待している」

 イタリア戦は守備がはまった。多くのデータと対戦経験をもとに、相手のスパイクコースに高い確率でリベロの山本智大がいて、ことごとく拾う。日本の驚異的な粘りは観客を魅了し、味方につけていった。

 高橋和也アナリストは試合後、こう分析した。

「相手の傾向がわかっているし、戦い慣れている部分がある。ここまでは頑張って取ろう、これより外側は割り切ろうといった約束事の中で選手がうまくコントロールしてくれた。どうしても関田さんの(ブロックの)上は狙われるんですが、状況によって(後衛の選手が)どのコースをどこまでカバーするか、練習がしっかり活きた。今日は関田さんもかなりブロックタッチを取っていたので、相手の狙いとは違う展開になったと思います」

 そして待望のエース石川の復活だ。深津貴之コーチはこう証言した。

「ずっと不安そうな顔をしていたんですが、今朝のミーティングから、目が違いました。吹っ切れた感じで。試合中もずっと『持ってこい!』と呼んでいました」

 強烈なスパイクでブロックを弾き飛ばしたかと思えば、ソフトタッチでブロックを利用する。イタリアで磨いた、高さのある相手から得点を奪うための多彩な技を駆使し、好守備で作ったチャンスを得点につなげていく。最後にして最大のピースがはまった日本は2セットを連取した。

 だが、このままいくと思ってはいなかったと、行武広貴アナリストは振り返る。

「1、2セットはうまくいきすぎたところが多くあったので、試合運びがうまいイタリアはどうせ何かしてくるだろうと思っていました」

窮地で形勢を逆転させたイタリアの「攻めのサーブ」

 第3セットはイタリアがスタートローテーションをずらしてくると予想し、伊藤健士コーチは日本のローテーションを変更。蓋を開けると第3セットも第1、2セットと同じマッチアップになった。ベンチワークも選手を後押ししていた。

 第3セットも先行し、山本が3連続のディグでつないだラリーを、高橋藍のスパイクで制して13-9とすると、パリ南アリーナは興奮のるつぼと化した。

 終盤追いつかれるも、高橋藍のサーブで崩し、石川が強烈なインナースパイクを叩き込み、体を震わせて吠える。さらに、山本の好守備を石川が巧みなフェイントで得点につなげ24-21。日本が一気にマッチポイントを握った。あと1点。誰もが勝てると思った。

【続きを読む】サブスク「NumberPREMIER」内の《遠かった“最後の1点”》バレーボール男子・イタリア戦をコーチ陣が振り返る「1、2セットはうまくいきすぎた」「あの状況でジャネッリが…」、こちらの記事の全文をお読みいただけます。

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