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「1、2年時ならフテくされましたが」東海大相模198cm左腕・藤田琉生…スカウトと原監督の“特大評価”「5年後ワクワクです」「大人の体になれば」 

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間淳

間淳Jun Aida

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photograph byHideki Sugiyama

posted2024/08/25 11:01

「1、2年時ならフテくされましたが」東海大相模198cm左腕・藤田琉生…スカウトと原監督の“特大評価”「5年後ワクワクです」「大人の体になれば」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

東海大相模の198cmエース藤田琉生。ベスト8で甲子園を去ったがスカウトも原俊介監督も認める潜在能力の一端を見せた

 特に苦しかったのは1年前。夏の大会を1カ月後に控えたタイミングで左肘を疲労骨折し、ベンチ入りメンバーから外れた。ボールを投げられない日々に、野球を辞めようと考えたという。しかし、仲間に励まされ、原監督からは「けがした時こそ、できることがある」とアドバイスを受けた。リハビリの時間をランニングや体重増加の期間と捉えて、自身の成長につなげた。

 身長198センチの大型左腕の野球人生は、まだゴールではない。

 進路については「大学に進学するのか、プロ志望届を出すのか、色んな方の話を聞いてから決めたいと思っています。プロ野球の選択肢はありますが、まだ決まっていません」と語った。

スカウト「5年後を見据えると、ワクワクします」

 藤田のプロ入りは4年後になるかもしれない。ただ、甲子園で登板した3試合で、プロからの評価が高まったのは間違いない。3試合で計21回1/3を投げて3失点(自責2)。長身を生かした角度のある直球と落差のあるナックルカーブでアウトを積み上げた。プロ野球のスカウトの1人は、潜在能力の高さを評価する。

「藤田投手は手足が長く上から投げ下ろします。しかも、左投手。打者にとっては、ほとんど経験のない角度からの投球になります。直球もカーブも高めのボールゾーンから低めに落ちてくる感覚だと思います。背が高い投手は自分の体を上手く操れずにコントロールが不安定な傾向にありますが、藤田投手はリリースが比較的安定しています。何よりも魅力なのは、体の線の細さを見ても分かるように、まだまだ完成形ではないところです」

 スカウトは「プロ志望届を出せば、ドラフト上位で指名される可能性は高い」と予測する。高校生はプロでの伸びしろを重視してドラフトで指名するのが一般的だが、「5年後を見据えた時に、ここまでワクワクさせる投手は、なかなかいません」と魅力を感じている。

スカウトが指摘する課題と、原監督の本音評価

 その一方で、素材型であるがゆえに――現時点での課題は少なくないと指摘する。

【次ページ】 藤田自身も「まだ高校生活で進化する時間はあります」

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