- #1
- #2
甲子園の風BACK NUMBER
4人がプロ入り…大阪桐蔭・最強世代を追い詰めた“偏差値68”府立進学校の監督が“まさかの異動”で「インフルエンサー兼バスケ部顧問」に転身のナゼ
text by
清水岳志Takeshi Shimizu
photograph byTakeshi Shimizu
posted2024/08/18 11:01
寝屋川高の野球部監督として大阪桐蔭を追い詰めた達大輔。実は1万人を超えるフォロワーを持つ「野球インフルエンサー」でもある
Xは広報の意味も大いにある。
「私学に行きそうな上手い子をちょっとかすめ取りたいという思いです(笑)。1人、2人でいいんですが」
そう思っていたところに、1年生3人がXをやり取りして都島工を選んでくれた。彼らはモチベーションの部分が違うはず、という。そこに普通に受験して入った1年生が4人いて、彼らが最上級生になる再来年に下村は期待している(ちなみに今年の3、2年生は14人)。
達が異動してくると聞いて、下村は楽しみにしていたという。
「野球で有名な方が来られて、バスケ部の顧問になると。生徒は死ぬ気で練習してるし、私も死ぬ気で頑張らせていた。でもベスト16まででその先へはどうしたら、と悩んでいるときでしたから」
「技術・戦術は監督」「それ以外は顧問」という役割分担
普段、下村は技術・戦術の指導をして、それ以外を達が受け持つ。
「私は全体練習が終わると引き上げますが、達先生は自主練習にも付き合ってくれる。僕に怒られた生徒のケアとか、やってくださってます。だから私はテクニック面に専念できてます」
下村の目標は阪南大高の恩師・森本監督だ。
「練習試合をやらせてもらいますが、ぼこぼこにされます。向こうのエースは試合が終わっても汗一つかいてない。遊ばれてますね」
下村は目標や理想をはっきりという。森本に対して「倒してギャフンと言わせたい」と言う。そして続ける。
「全国大会に何としても行きたい。小学校の時に空手をやっていて全国大会に行きました。でも、バスケでは高校も大学も指導者としてもまだ行かれてない。全国に行くというのが最優先なんです」
そう目標を口にするところは達と似ている。
達は前職のツイッターの自己紹介に「本気で甲子園を狙います」と書いた。下村も「2026年までに近畿大会出場」と書き入れた。
「そこのシンパシーがあるのは間違いないです。野球部はもちろん、全部活に負けたくない。バスケ部が一番、やってる自信はあるので。生徒たちにもこだわらせてるし、学業成績も日常生活も負けたくない」
顔は柔和な優男だが、闘志を隠さないファイターだ。いつかは強豪私学に行って、全国のてっぺんを取りたい、という野心も小さい声でほのめかした。
実は大阪桐蔭はバスケットも強いという。
「地区の決勝でもあたったことがあって。始まって3分経過してむこうの監督がすっと、イスに座ったんですよ。もう悔しくて悔しくて。それが最近の新人戦の桐蔭との試合では1クォーターの間は監督さん、立っていた。もっと、成長して食いに行くぞと思ってます」