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甲子園の風BACK NUMBER
4人がプロ入り…大阪桐蔭・最強世代を追い詰めた“偏差値68”府立進学校の監督が“まさかの異動”で「インフルエンサー兼バスケ部顧問」に転身のナゼ
text by
清水岳志Takeshi Shimizu
photograph byTakeshi Shimizu
posted2024/08/18 11:01
寝屋川高の野球部監督として大阪桐蔭を追い詰めた達大輔。実は1万人を超えるフォロワーを持つ「野球インフルエンサー」でもある
5月のインターハイの予選は2勝して3回戦で私学の上宮に惜敗した。再延長まで食い下がったが及ばなかった。今は9月の大会に向けて最後の追い込み中だ。これが最大の目標であるウインターカップにつながっていく。
Xで行き来して入部した1年生3人はすでにゲームデビューをしていて、期待通りのスタートになった。その他の4人も彼らに負けてはいられないと、ポジション争いが激しいそうだ。そして、さらに来年入学の問い合わせも来ているというから、達のSNS指南はいい結果をもたらしている。
「名物監督」の異動がもたらしたものは…?
全国の工業系の高校の生徒数は驚くほどのペースで減っている。ピークの昭和45年度から約30万人、割合でいうと当時から46パーセントも減少したという。
都島工の大西忠典校長も志願者を増やしたいと夢を語る。
「いい伝統を引き継いでいる高校です。ブランド力を上げて、もっといい工業高校にしたい。そのためには『スポーツが強い』というのは大きな武器になる。例えば全国でいうなら、バスケの能代工業(現能代科学技術)、ラグビーの伏見工業(現京都工学院)などがあって、あんな学校を見習ってうちもどの部活でもいいんですが、全国レベルで活躍できる部が育ってほしい」
大西校長は実業系の教員ではないが、教鞭をとってきたのは工業高校ばかりという。生徒の減少、公立の衰退を肌で感じていて「なんとかしたい」と思いを巡らせてきた。自身も現在、大阪高体連バスケットボール専門部の部長をしていて、スポーツへの理解は深い。
小宅監督は「21世紀枠で甲子園を狙える高校だと思います」という。
また、野球部長の福井康二先生も「大阪の府立高校として甲子園に出なきゃいけない高校のひとつだと思っています」と力強く言う。
達もみやこうでの生活を楽しんでいる。
「僕は府立高校、国立大学の出身ですが、小宅先生も下村先生も私立高校、私立大学の出身です。また、府立と元市立の風土の違いもある。僕にとってもここでの日々は興味深いことが多いんです」
達の異動がトリガーになって若い小宅、下村に確かな化学反応が起きている。