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「最後まで見届けなきゃ…」男子バレー決勝を現地観戦した日本人ファンの本音…あの名将も日本代表を賞賛「とても悲しい。グレイトで美しかった」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byTakuya Kaneko/JMPA
posted2024/08/15 17:03
会場を魅了するバレーボールを披露したが、準々決勝で敗退した日本代表。メダルは4年後のロス大会に託された
特に第3セットは独壇場だった。ポーランドのエース、ヴィルフレド・レオンの渾身のスパイクを、コート後方で幾度も拾う。前衛に回れば、クルクル回って背面スパイクを決めるなど、相手ブロックの動きも心も見透かし、まるで踊っているかのように軽やかに体とボールをコントロールする。なぜこんなことができるのか。
石川祐希(ペルージャ)が大学1年の冬に初めてイタリア・セリエAに短期移籍した際、モデナでチームメイトだったガペに大きな影響を受けて帰ってきたが、その衝撃がどれほど大きかったかが改めて想像できる。今や石川や日本代表の得意技として認知されている“フェイクセット”はガペが元祖だ。
強く、面白いバレーで金メダル。地元の観客はおおいに満足して帰路についた。
印象的だった日本代表への応援
一方で、自国のファンだけでなく他の国の人々を魅了し応援されたという意味では、筆者が見た中では日本代表が一番だった。準々決勝のイタリア戦は、セットを追うごとにまるで日本のホームのような雰囲気になっていった。
特に観客を魅了したのは神がかったディグ。身長171cmのリベロ山本智大(大阪ブルテオン)が、2mを超える大砲たちの強烈なスパイクを拾うたび会場はドッと沸いた。第3セット中盤、山本が3連続でディグを上げたラリーでは、1本ごとに観客がワクワクしながら前のめりになっていき、最後に高橋藍(サントリーサンバーズ大阪)のスパイクでラリーを制すると、観客は総立ちになった。
セッター関田誠大(ジェイテクトSTINGS愛知)のトスも観るものを惹きつけた。第3セット8-6から、ラリー中にミドルブロッカー山内晶大(大阪ブルテオン)のクイックを使って相手ブロックを置き去りにした場面では、筆者の前の席に座っていたフランス人らしき家族が、「今の見た?」「信じられない!」といった表情で、関田のハンドリングを何度も再現していた。