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「ウタ、ウタ!」柔道・阿部詩の号泣…海外では予想外の反響「彼女の涙を見て、オリンピックの見方が変わったよ」“元世界ランク1位”人気ゴルファーの告白
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byNaoya Sanuki/JMPA
posted2024/08/10 11:04
柔道・阿部詩の号泣。海外のトップアスリートから思わぬ反響があった
デイは112年ぶりにゴルフがオリンピック競技に復活した2016年のリオデジャネイロでは、現地で広まっていたジカ熱のリスク回避を理由に出場を見送った。当時はまだゴルフ界にもわざわざオリンピックでやる必要があるのかというような懐疑的な見方も多くあり、多くのトッププロが参加していなかった。デイ自身もゴルフに対するモチベーションが低下している時期だった。
そして今回、初めてオリンピック代表としてパリにやってきた。
そのデイが会見でこう語った。
「テレビを見たら柔道の女子選手が戦っていた。彼女たちがオリンピックで負けたときに味わう感情がどれほどのものなのか。負けた選手が打ちひしがれる姿を見てオリンピックがどういうものかがわかった。彼女たちにとって国を代表すること、メダルに挑み、勝ち取ることがどれほど大切なことなのかをね」
それがつまり阿部のことだった。
「その瞬間を見るのはとても感動的だ」
ほとんどのゴルファーは子どもの頃からメジャー大会で勝つことを夢見てプレーしてきている。デイも同じ。加えてオリンピックのゴルフは賞金も出ない。それは普段とはまったく異なる環境での戦いだ。では、何を目指すのか。それを教えてくれたのが阿部の姿だった。
「アスリートが敗北を乗り越えようとする、初めての勝利をつかもうとする、初めてのメダルを勝ち取ろうとする。その瞬間を見るのはとても感動的だ。だからオリンピックに対する自分の見方が変わったのは間違いない。今週ここで戦えることにとても感謝している」
オリンピックの舞台に立つことの意味。阿部の慟哭には酸いも甘いも経験してきたトップゴルファーの心でさえ揺さぶるものがあった。
銀メダルを首から下げた阿部は最後に言った。
「自分の人生の中で忘れられない6日間になったと思います。この負けから強くなる。そう自分自身に誓って一日一日を過ごしたい。オリンピックの舞台で必ずリベンジしないといけない」
そう語る瞳にはようやく力が戻ってきたように見えた。