甲子園の風BACK NUMBER
早実9年ぶり甲子園の陰に「ダルビッシュや千賀とも交流」米独立リーグ出身“ナゾの外部コーチ”の存在が…「木製バットのスラッガー」にも注目
text by
清水岳志Takeshi Shimizu
photograph byAsahi Shimbun
posted2024/08/11 06:00
9年ぶりの甲子園出場となる早稲田実業。エースの2年生サウスポー・中村心大はポテンシャル十分だ
しかし国学院久我山戦は雨による中断もあったが、四死球を連発するなど大量失点。日大三高との決勝もKOされた。それでも「中村は力はある」と期待する。
「元気な時は常時140キロ出ますし、東京を代表する左腕になる素材。いい兆しが見えていて、三振を取るのはストレートでしたが、変化球をもっと生かそうと。準決でスライダーとフォークを使いだして、決勝で三振の取れるところでフォークを使うといっていて、そのとおり2個、フォークで三振を取ってる。スライダーも強さのある新しいバージョンを増やしました」
中村の感心するところは誰よりも練習する選手で、ストップをかけないといつまでもやり続けるところだという。
「決勝戦(日曜日)の夜、ラインが来たんです。『ボールに力がなかったですかね』って」
エースサウスポーはポテンシャル抜群
内田は「気になる点はあるので、水曜日にグラウンドに行くので、その時に話す。2日間は休養しろ」と返信したそうだ。日曜の時点でアドバイスしてしまうと、月曜日に自分で修正して必要以上に練習をして、悪影響になりかねないから、先送りしたそうだ。
内田が大会期間中から感じていたのはこうだ。
「グラブを付けた右手が下がっていて、バランスを崩してボールをリリースするときに抜けていた。甲子園の本番も近いし、投球する左腕を直すのは危険なので、右手だけ指摘して、『こういう練習をすればいい』とだけ言いました。いろいろ言うと、たくさん練習しちゃうんで」
和泉監督は「来年の東京都を代表する左ピッチャー」とポテンシャルを評価する。中村の練習熱心さに他のピッチャーたちも引っ張られているという。
3年の山埼啓生は久我山戦で最後を締めた。2年の大型右腕の浅木遥斗は中村にライバル心を燃やし、1年の田中孝太郎も1試合に先発して自立を見せた。6人の投手が登録され、頭数はそろっている。「中村は甲子園という大きな舞台で一皮むける可能性がある」と内田は見ている。