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「吉田輝星以来の甲子園」金足農、初戦で去る…154球投げた2年生エース、吉田弟・大輝(17歳)の「将来を考えての交代」は妥当だったのか?
posted2024/08/11 06:01
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
Shigeki Yamamoto
日本人はこちらの方を好む。
150球を超えたところで降板を告げられ悔しがるエース。兄貴さながらに力投する金足農の2年生・吉田大輝を見て、そんな想いに駆られた。
甲子園を賭けた県大会決勝戦を回避してプロ入りした剛腕より、甲子園で力投を見せてくれる投手に熱狂する……高校野球ファンにはそちらの方が多いのではないだろうか。
「自分が先発した試合で交代させられたことがなかったんで、今日この舞台で最後まで投げきれなかったっていうのが悔しいです。絶対マウンドは誰にも立たせないっていうか、譲らない気持ちでやっていきたい」
金足農のエース吉田大輝はそう話している。
「金農旋風」ふたたび!?
8月9日、2018年の第100回記念選手権大会で準優勝した金足農が、あの日以来となる甲子園に帰ってきた。0−6の9回表、打線がつながって一気に4得点。あと一歩で逆転、という展開をみせた粘りの野球は、旋風を起こしたあの時の金足農そのままだった。
今年もエースは「吉田」。当時のエース吉田輝星の弟がマウンドに立つのだから、誰しもロマンを感じたはずだ。
ただ、当時と違ったのは初戦の1回戦で敗退したこと、そして、エースの吉田大は7回限りで降板してベンチに退いていたことだった。
「(兄には)本当に小学校の頃から刺激を受けてきた。ずっと投げている姿に憧れてきたんで、負けたくない」
唇をかみしめた吉田大の言葉から悔しさがそのまま伝わってきた。
高校野球が人生の終着点なら、この言葉にグッとくるものを感じたかもしれない。しかし、あの時、力投をつづけた兄・吉田輝星はプロ入り後に実力を発揮できずに苦しみ、昨年はシーズン後にオリックスにトレードされた。高校3年夏以上の輝きをプロで見せているとは思えない。
2018年の金足農が大旋風を起こしたのは間違いない。ただ、その陰で、大きな問題を高校野球界に投げかけたことも忘れてはいけない。