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オリンピックPRESSBACK NUMBER
「ブラジル人にとってもこの暑さは異常よ」“気温36度”暑すぎパリ五輪の大問題…ビーチバレー会場で選手に直撃「東京とどちらが暑かった?」
text by
齋藤裕Yu Saito
photograph byKMSP via AFP
posted2024/08/03 11:00
五輪開幕後の7月下旬、最高気温36度の猛暑に見舞われたパリ。エッフェル塔下のビーチバレー会場で、選手たちに話を聞いた
「熱ッ…!」水筒がものの数分で“危険物”に
スタンドに入ると驚いた。席に屋根はない。ビーチの地面以外は選手と同じコンディション。もはや体験型施設だ。それでも8割方埋まっていて、残り2割は会場の日陰になったエリアに退避している。
メディア向けの席に座る。机にはコンセントケーブルがあり、PCやスマートフォンを充電できる。記者席の設計は他の競技施設と同じだが、異なるのは屋根がないということだ。
現在行われているのは、2人ペアで行われる女子のブラジル対リトアニア戦。ブラジルのペアは日本の長谷川暁子選手と石井美樹選手を破った強豪で世界ランク3位。相手のリトアニアも国内最強の世界ランク22位。3分ほど試合を見て、机に置いた水筒を手に取った時だ。
「熱ッ……!」
鉄製の水筒がものの数分で熱を帯びた危険物と化していた。キャップを使って、日陰に移動させる。場内では熱烈なブラジル応援団の声が聞こえる。その写真をスマートフォンで収めようとして気づく。
「あれ、充電ができていない?」
コンセントに繋がっているはずなのに。どうやら熱でスマートフォンもおかしくなってしまったようだ。会場を見下ろす高い位置にある座席に腰掛けていてもそうなのだ。砂浜の上だとどれほどの暑さになるのだろうか。
試合はブラジルペアが2-0のストレートで勝利。試合後に両者に話を聞くべく、「ミックスゾーン」と呼ばれる取材可能なエリアに向かう。ビーチバレー会場はなんと野外での取材対応。担当者から「ビーチパラソルの下で取材してください」と説明される。バカンスみたいな環境だ。暑くなかったですか? リトアニアのアイネ・ラウペリテ選手に聞くと、右腕に氷嚢を抱えながら、こう訴えた。
「この暑さは私にとってはとても難しいものだったわ。ジャンプもできないし、アタックもうまくできなかった。暑さのせいでプレーの選択も冷静さを欠いてしまった。ただ、この高温はどちらのチームにとっても同じ条件だから、言い訳にはならない」