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オリンピックPRESSBACK NUMBER
「ブラジル人にとってもこの暑さは異常よ」“気温36度”暑すぎパリ五輪の大問題…ビーチバレー会場で選手に直撃「東京とどちらが暑かった?」
text by
齋藤裕Yu Saito
photograph byKMSP via AFP
posted2024/08/03 11:00
五輪開幕後の7月下旬、最高気温36度の猛暑に見舞われたパリ。エッフェル塔下のビーチバレー会場で、選手たちに話を聞いた
バルト三国のひとつ、リトアニアの7月の平均最高気温は23度。顔が真っ赤になった24歳は流暢な英語でこう続けた。
「ただ一番はパートナーがこの暑さに対応できて、自分は対応できず、タイムアウトを取るなどの対策が取れなかったことね」
「ブラジル人にとってもこの暑さは異常よ」
上気した顔と右手の氷嚢からこぼれ落ちる水滴を見て、この競技の過酷さを思い知った。片やブラジルのペアは涼しい顔。カロリナ・ソウベググサウガド選手は、「エッフェル塔、すごく素敵よね。下まで歩いていきたいけど、ただ見るだけでボールを打つことしかできないのよ、私たち」と軽妙に答える。「ブラジルの北部でもこういう気候はあるのよ。とはいえ、ブラジル人にとってもこの暑さは異常よ」と苦笑い。
対策を教えてくれたのはカルバラ・セイシャスデフレイタス。試合前と試合後にいつも以上に水分補給を行ったという。そして、プレーのスピードを上げたとのこと。なぜか。
「相手が暑さに疲れてプレーにも影響が出ているように見えたの。だから、普通はラリーを続けるものだけど、かなり速い展開に持ち込むことで相手の戦意を喪失させることができたわ」
記者席に戻ると、男子のフランス対スペインの試合が始まっていた。赤白青の三色旗が揺れ、あまりの暑さにボランティアスタッフが、プレーが止まっている間に客席へホースを向け、水浴びをさせている。上半身裸になる男性客も多数発生。ウェーブも起き始め、雰囲気はさながら野外フェスだ。日本人とは少し「ノリ」が違うとは思うが、東京五輪も有観客ならこのように盛り上がっていたかもと思うと、なんとも歯がゆい。
場内ではフランスを応援する掛け声「アレ・レ・ブルー」の大合唱が始まり、手元の気温計でも36度を記録。日本の暑さと異なり、こちらは湿気が少なめ。じめっとした暑さではないが、焼けるような日差しがチクチクと肌に突き刺さる。このままでは溶けてしまう……。
雨用に持っていた折り畳み傘を日傘代わりにして自分用の日陰を作る。記者席には、傘でPC用に陰を作り、自身は陽の光を浴びている猛者も。会場に入る前に購入した冷えたペットボトルはぬるま湯になっていた。