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「ここで出さないなんてもったいない」男子バレー“運命の第3セット”…予選敗退の危機が迫る中で一体何が? 現地記者が見たギリギリ突破の舞台ウラ
posted2024/08/03 17:22
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
Reuters/AFLO
バレーボール男子予選ラウンド最終戦で、日本は五輪で3度の金メダルを獲得しているのアメリカと対戦。セットカウント1-3で敗れたものの、上位8カ国による決勝トーナメント進出が決まった。
「いつもよりちょっと静かだな」
ベンチスタートの大塚達宣は、序盤、外から眺めながらそんなことを感じていた。
第1セット、日本は高さで上回るアメリカのブロックや強烈なスパイクに苦しみ16-25で落とすと、第2セットもその勢いを止めることができず、18-25と連取された。
アメリカのスパイクやブロックに苦しむチームメイトたちの姿を目の当たりにし、高橋健太郎も「自分たちの良さがまったく出せず、緊張感もあった。今日はちょっとすごくまずいんじゃないか……と」という考えが頭をよぎったという。
日本はこの試合に敗れても、1セットを取れば決勝トーナメント進出を決められる状況だった。
もしかしたら、逆にその条件が状況を難しくしたのかもしないが、苦しい展開が続いた。
「あの流れのままだったら0-3でやられていた」
守備の要を担うリベロの山本智大と、この日、第2セットで攻守に活躍を見せた高橋が振り返る。
「第1、2セット、アメリカが強くて、僕たちはなかなかリズムをつかむのが難しかった」(山本)
「自分たちのバレーができているなとは思いましたけど、とにかく相手のブロックディフェンスとサーブがすごくよかった。あのバレーをされると、どのチームもおそらくこの試合のような展開になってしまうんじゃないかと思う」(高橋健)
いつもとは違う様子を感じていた大塚には、「あの流れのままだったら、多分0-3でやられていたと思う」という危機感もあった。
「なにがよくなかったのか、それはチームの雰囲気的なもので、数字にあらわれるものじゃないので分からないんですけど、1、2セットはどこか探り探りでプレーしているような雰囲気に見えました」