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「日本vsスペインは“五分五分”だ」五輪サッカー男子メダルへの大一番をトルシエが占う「間違いなくパス回しを分断できる」と断言するワケ
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byTakuya Kaneko/JMPA
posted2024/08/02 06:03
準々決勝の舞台で激突する日本代表とスペイン代表。トルシエはどのように占うか
「間違いなくできる。日本が勝つために必要なのは、スペインがコレクティブな自信を持つのを妨げることで、それは日本がこの大会のスタートからやってきたことだ。日本の組織の力で、彼らのプレーの構築を妨げる。というのもスペインはボールを回すために、常にボールタッチしていなければならないからだ。プロフォンダー(縦への攻撃の速さと深さ)で勝負するチームではない。日本の力をもってすれば、彼らのパスを分断できる」
――それができなかったら、逆に日本がスペインに破壊されてしまうわけですね(笑)。
「その通りだ。繰り返すが日本とスペインは同じタイプのサッカーを実践している。パスやプレス、コントロールのクオリティ……。ボールのコントロールに関して、日本はとても高いレベルに到達している。技術において日本は、この大会の水準を大きく上回っている。またここまで無失点であるのも大きな自信だ」
――その通りです。
「だからスペインにとっても難しい試合になるのは間違いない。とはいえスペインは金メダルの有力候補であり、エジプトの方がやりやすかった。真の強豪との対戦だ。ただ、スペインがエジプトに敗れたのは、多少の傷を彼らに残しただろう。そこにつけ入る隙が生じればいいが……」
フジタのパスのようなディテールが違いを作り出す
――前回のインタビューでは、対戦相手がスペインならば勝負はディテールで決まるだろうとあなたは言いました。
「このレベルでは当然そうなる。得点もしばしばディテールで決まるからだ。恐らく試合は拮抗した展開になる。そこでは小さなディテールが……例えば今日の藤田のパスのようなディテールが違いを作り出す。またディテールは適切な瞬間の適切な判断かも知れない。細谷が的確にボールを収めることかも知れないし、佐藤のクロスの質かも知れない。トップレベルのサッカーではそうしたディテールが求められる」
――そうですか。よくわかりました。メルシー、フィリップ。ボンニュイ。<つづく>